「富山県出身者は採用しない」発言

今年の7月,富山市に本社を置く総合機械メーカーの会長が「富山生まれの人は閉鎖的な考え方が強いから採らない」と発言したことが物議を醸しました。

 

 

この発言に対しては,「出身地による差別だ」「富山県民を侮辱している」などの批判が相次ぎました。

 

 

このような発言をすること,あるいは,実際に採用に当たって富山県民を採用しないという基準を作ったりすることは法律的にどう評価されるのでしょうか。

 

 

実は,法律的には,企業は,どのような人を雇うかについて原則として自由に選択することができます。

 

 

最高裁は,有名な「三菱樹脂事件」(昭和48年12月12日判決)において,企業が誰を採用するかについては,「法律その他による特別の制限がない限り,原則として自由に決定することができる」と述べています。

 

 

もっとも,この最高裁が述べるように,「法律による特別の制限」があれば,例外的に企業の採用の自由も制限を受けることになります。

 

 

たとえば,性別を理由とする採用差別は「男女雇用機会均等法」で禁止されています(男女雇用機会均等法5条)。

 

 

また,採用時に年齢制限をつけることは,「雇用対策法」によって原則として禁止されています(雇用対策法10条)。

 

 

しかし,出身地や本籍地などを採用基準にすることはどの法律でも禁止されていません。

 

 

この点,厚生労働省は,民間企業が従業員を採用する場合の指針として,「公正な採用選考の基本」という指針を出しており,この指針の中では,出生地や本籍地を採用の基準にするようなことはやめるようにと書かれています。

 

 

しかし,あくまで「指針」であり「助言」のようなものに過ぎず,法的拘束力はありません。

 

 

どうしてこのような結論になるかというと,「法の下の平等」などの憲法規範は直接的には,国家と国民との関係を規律するものだからです。

民間対民間の関係には,直接,憲法の規定は適用されないのです。

この話は難しくなるので,またの機会に書いてみたいと思います。

 

 

 

 

パズドラに措置命令

先日,「パズドラ」の不当な宣伝に対して,消費者庁がゲーム会社「ガンホー」に対して再発防止を求める措置命令を出しました。

 

 

「パズドラ」はゲームを楽しむこと自体は無料なのですが,課金制度で強いキャラクターを入手できるという仕組みになっています。

 

 

報道によると,ガンホーが配信したインターネット番組で,ゲーム製作者が「新しいキャラクター13体が全部『究極進化』する,」と宣伝したのに,実際に「究極進化」したのは2体だけだったとのことで,課金した消費者から苦情が多数あったとのことです。

 

 

消費者庁は,調査の結果,景品表示法の「優良誤認」にあたるとして,再発防止を命じました。

 

 

景品表示法は,不当な表示によって消費者に誤解を与えることを禁止して,不当な広告などから消費者を保護することを目的としています。

 

 

そのなかで,今回は「優良誤認表示」にあたるとされました(5条第1号)。

 

 

「優良誤認表示」とは,宣伝などで,実際のものより著しく優良であると示す表示のことをいいます。

 

 

今回は,実際は2体のキャラクターしか「究極進化」しないのに,13体全てが「究極進化」するかのように宣伝したというのですから,「優良誤認表示」に該当するとされたのは当然といえるでしょう。

 

 

 

 

タトゥー裁判

医師免許を持たずにタトゥーを入れたということで,医師法違反の罪に問われた彫り師の刑事裁判が現在,進行中です。

 

 

今年4月に第1回公判が開かれて,彫り師の人は無罪を主張しました。

 

 

争点は,タトゥー(入れ墨)が「医業」に該当するか否かです。

医師法第17条には,「医師でなければ,医業をなしてはならない。」と規定されています。

 

 

検察側は,感染症の危険性などを理由に,「医師が行わなければ保健衛生上の危害が生じる」と主張しています。

 

 

弁護側は,「医業とは健康を確保することであり,タトゥーを彫ることは医業ではない」,「医師免許がなければ彫り師になれないというのでは,憲法が保障している職業選択の自由の侵害に当たる」等と主張しています。

 

 

さて,法律にはどう書いてあるのでしょうか。

 

 

実は,医師法には,「医業」とは何かについて明確に規定していません。

そのため,「医業とは何か」がこれまでにも何回か問題になりました。

 

 

たとえば,かつて,「看護師が注射をしてもよいか」とか,「ホームヘルパーが痰の吸引をしてもよいか」などが議論されました。

これらも注射や痰の吸引が「医業」かどうかという問題です。

 

 

このような問題が生じた場合,たいてい,「通達」というものが出されて,一応の決着を見ます。

 

 

タトゥーに関して参考になる通達は,「アートメイク」に関して,平成13年に厚生労働省が出した通達です。

 

 

この通達によると,「アートメイクは医師以外が行ってはいけない。」という見解が示されています。

そして,厚労省は,「この通知はタトゥーも含む」との見解を取っています。

つまり「タトゥーも医師以外は行ってはいけない。」というのが,一応,国の見解ということになります。

 

 

こういうと,「国の見解」が「ダメ」だというのなら「ダメ」なのではないか?という素朴な疑問が生じるかも知れません。

 

 

ここで,「通達」とは何か,「国の見解」とは何か,について少し勉強しましょう。

 

 

ちょっと難しい話ですが,「通達」は,行政機関が出すもので,行政機関内部における指針です。

したがって,国民の権利・義務を直接に規定するものではありません。

 

 

三権分立というのを学校で学びましたね。

 

 

「法律」を作るのは国民の選挙によって選ばれた国会議員が集まった国会です。

法律は民主的に選ばれた国会議員が作るので,国民の権利を直接制限します。

つまり,国民は法律に拘束されます。

 

 

しかし,「通達」は,行政機関が出すものなので,国民はそれに拘束されません。

このように,実は,本来,国民が拘束を受けないはずの「通達」によって,「国の見解」というものができているのです。

 

 

ですから,今回の件も,一応,検察は平成13年の通達を根拠に起訴しているのですが,「タトゥーは医師以外が行ってはいけない。」という「通達」に基づく「国の見解」は,直接,国民を拘束する効力を持っていないのです。

 

 

したがって,この裁判の結果がどうなるかは何ともいえません。

 

 

裁判所は,「通達」に縛られることなく,裁判所自身の考えで判断します。

裁判の結果がどうなるかは非常に興味深いです。

 

 

 

 

大阪訴訟第3回口頭弁論が開かれました

 

2017年5月23日、汗ばむような陽気の中、大阪地方裁判所において、大阪訴訟第3回口頭弁論期日が開催されました。今回も多くの支援者が来てくださり、傍聴希望者多数のため、傍聴券は抽選となりました。

大阪弁護士会館内の事前打ち合わせの様子
大阪弁護士会館内の事前打ち合わせの様子

法廷では、原告19番ご本人の意見陳述が行われました。
原告19番さんは、言葉では到底表現することのできないほどの激しい痛みがあるのに原因が変わらずただ痛みに耐えていたこと、やっと原因がわかると思い受診した厚生労働省指定の協力医療機関で、医師から詐病のように扱われ傷ついたこと、治療を受けるために三重まで行かなければならないこと等、辛い状況にあることを述べました。

そのような状況においても、彼女は、母親を思いやり、母親に心配をかけまいと、母親の前では泣かないようにしているそうです。また、将来は医療系の仕事をして患者さんの辛さを理解し、痛みを少しでもやわらげてあげたいと言っていました。彼女の優しさ、強さに心を打たれました。

大阪地方裁判所
大阪地方裁判所

続いて、パワーポイントを用いて準備書面の説明が行われました。

今回、2つの準備書面が提出されています。

1つは、HPVワクチン接種との因果関係に関するものです。少女たちの病態が、いくつもの多様な症状(多様性)が、時間の経過とともに次々と現れ、重なっている(重層性)という共通点があり、これを全体的に捉えると極めて特異的な新しい疾患であると言えること、少女たちの病態を裏付ける知見が次々と報告されていること、したがって、HPVワクチン接種と少女たちの病態との間に訴訟上の因果関係が認められることが説明されました。

もう1つは、ワクチンの製造販売承認の判断基準や接種の積極的勧奨が許されるための要件についてです。原告らはワクチンの承認の判断基準において、ワクチンには治療薬よりも高い有効性・安全性が求められることを主張しています。また、公権力による積極的勧奨が許されるには、公衆衛生・集団予防の必要性があり、集団予防の効果が検証されていること、製造販売承認時よりも高い有効性・安全性が必要であることを主張しています。そして、これらの主張が原告ら独自の見解ではなく、公式的な文書や論文に根拠があることを示しました。さらに、本件ワクチンの承認審査において異例の取扱がなされており、このような異例の取扱をしたことについて、国に対して、きちんとした説明を行うよう求めました。

法廷での期日と並行して、傍聴に外れてしまった方のために、法廷外企画が行われました。この企画では、法廷で陳述されている原告及び被告らの準備書面の内容を分かりやすく、時には皮肉も交えて説明しています。傍聴に外れてしまった方にも、有意義だったと言っていただけるよう工夫して企画しております。
その後、法廷外企画の会場には、法廷に出席していた原告や傍聴していた支援者も合流し、第3回期日の報告集会が行われました。
報告集会後には、原告のみなさんと支援者のみなさんが気軽に話せるよう、茶話会も開かれました。

報告集会の様子
報告集会の様子

第4回の期日は、2017年8月8日午後2時から行われます。
今回に引き続き、さらに多くの方に参加いただければと思います。

メルカリで現金出品

最近,メルカリで現金を出品していることが話題になりました。

 

 

以前から古いコインなど希少性のある物は取引に出されていたのですが,最近話題になったのは現行紙幣です。

たとえば「1万円札4枚を4万7000円」などで出品していたのです。

 

 

普通に考えれば,そんなものを買うと損をするような気がしますが,実は買う人がいます。

 

 

その理由は,いわゆる多重債務者が,クレジットカードのキャッシング枠を使い切ってしまい,それでも返済のために現金が必要なので,枠が空いているショッピング枠を利用して現金を入手していると考えられます。

 

 

この点,法律上問題はないのでしょうか。

 

 

この取引の実体を見ると,まず,4万円を出品した人はクレジット会社から4万7000円を受け取ることになります。

 

 

次に,購入した人は,約1か月後に4万7000円が口座から引き落とされます。

 

 

購入した人から見ると,4万円を一時的に手に入れて約1か月後に4万7000円を支払う訳ですから,4万円を借りて7000円の利息を付けて返しているようなものです。

 

 

このような実体を「金銭の貸し付け」とみなすことができれば,出品者の行為は「貸金業」にあたる可能性があります。

 

 

貸金業にあたるのであれば,貸金業登録が必要で(貸金業法3条),無登録営業は犯罪になります。

 

 

また,貸金業に該当する場合,金利は最大で年率20%までしか許されません(出資法5条2項)。

先ほどの例でいえば,年率に換算すると200%を超えますので,確実に違法です。刑事罰もあります。

 

 

このような問題の指摘を受けて,メルカリは現金の出品を禁止して,出品を発見した場合には削除しているようです。

 

 

しかし,メルカリについて調べていると,現金出品以外にも問題があるようです。

 

 

メルカリの制度では,売買が成立した場合に,買主から支払われた代金をいったんメルカリが確保してから売主に渡すというシステムです。

 

 

このシステムが出資法で禁止されている「預り金」にあたるのではないかという指摘もされているようです。

「預り金」は銀行法などの特別の規定で許されている場合を除き違法です。

 

 

このように,新しい商売の仕組みを考えるベンチャー企業には,常に法律的にグレーな問題がついて回ります。

 

 

 

フランク三浦勝訴

先月,フランク三浦とフランク・ミュラーとの裁判で最高裁がフランク三浦勝訴の判決を出しました。

 

 

日本の会社がスイスの高級時計「フランク・ミュラー」のパロディー商品「フランク三浦」を販売している件について,「フランク・ミュラー」側が「フランク三浦」の商標登録は,「フランク・ミュラー」に類似しているので無効だと特許庁に訴えました。

 

 

すると,特許庁は「『フランク三浦』の商標登録は無効」だと判断しました。

 

 

この特許庁の判断に対して,フランク三浦側が裁判所に「無効はおかしい」と訴えました。

 

 

この裁判は知的財産の裁判なので,一審が高等裁判所です。これを「知財高裁」と言います。

 

 

知財高裁は,「呼称(呼び方)は似ているが,外観で明確に区別できる。」,「『フランク三浦』は4000円〜6000円程度であり,100万円を超える『フランク・ミュラー』と間違うはずがない」などと述べて,商標登録は有効だと判断しました。

 

 

商標登録は商標法の問題です。

商標法の考え方は,取引をしようとする人が,「その商品のメーカーを間違うおそれがあるか否か」という基準で判断されます。

 

 

知財高裁は,「フランク三浦」の時計には漢字で「三浦」と書いてあることや取引価格が違いすぎることなどから「購入しようとする人が間違えるはずがない」と判断したのです。

 

 

裁判で,フランク・ミュラー側は,「ブランドイメージにただ乗りし,イメージを毀損する」と主張していました。

 

 

たしかに,ブランドイメージは低下するかもしれません。

 

 

しかし,最高裁は,「知財高裁の判断が正しい」として,フランク・ミュラー側の上告を退けました。

 

 

感想としては,「商標権」の問題としては,今回の判決は妥当だと思います。

 

 

商標権の判断基準は,「メーカーを間違う可能性があるか否か」ですので,漢字で「三浦」と書いてあり,価格も100倍以上も違うとなれば,誰も同じメーカーとは思わないでしょう。

 

 

フランク・ミュラーが主張していた,「ブランドイメージにただ乗りし,イメージを毀損する」という点は,商標法ではなく,不正競争防止法の問題でしょう。

 

 

不正競争防止法というのは,まさに「ブランドイメージにただ乗り」して儲けることを禁止する法律です。

 

 

過去に「スナック・シャネル事件」というのがありました。

「スナック・シャネル」という名前でスナックを経営していた人が本家のシャネルから訴えられました。

 

 

スナックのほうは,高級ブランドの「シャネル」と場末のスナックが同じ経営者だと誰も思うはずがない,と主張しましたが,スナックが負けました(最高裁平成10年9月10日判決)。

 

 

なぜ,スナックが負けたかというと,不正競争防止法は商標法と違って,「経営者が同じだと勘違いするかどうか」は関係なく,ブランドイメージにただ乗りして儲けることを禁止しているからです。

 

 

「スナック・シャネル」という名前が本家の「シャネル」のイメージを利用していることは,誰の目にも明らかでしょう。

 

 

この「スナック・シャネル事件」を参考にすると,「フランク三浦」も,もしかしたら,不正競争防止法では負けるかもしれません。

 

 

もっとも,不正競争防止法では,ブランドが「著名」であることが必要です。

「全国的に誰でも知っている」程度でないと「著名」とはいえません。

 

 

現時点では,フランク・ミュラーは不正競争防止法では訴えていないようですけれど,仮に訴えた場合,裁判所がどのような判断を下すか興味深いところです。

 

 

 

 

バイト欠勤で罰金

最近,立て続けにコンビニで「欠勤による罰金」が話題になりました。

 

 

一つは東京で,今年1月にニュースになりました。

もう一つは名古屋で,今年2月にニュースになりました。

 

 

東京の事案は,女子高校生のアルバイト店員が風邪で2日間(計10時間)欠勤したということで,1か月で25時間勤務したのに,「ペナルティ」として10時間分の給料を差し引いていました。

 

 

名古屋の事案は,「急に欠勤したら1回1万円の罰金を徴収する」という内容の書類に署名させて,実際,1人のアルバイトに3回の遅刻を理由に計3万円を払わせた,という容疑で加盟店のオーナーらが書類送検されました。

 

 

いずれも,コンビニの加盟店が欠勤や遅刻を理由に従業員に対してペナルティを課したものですが,このようなことは法律的に許されるのでしょうか。

 

 

労働基準法の問題です。

 

 

遅刻や早退を繰り返すとか無断欠勤など,勤務態度に問題がある場合には,懲戒処分としての「減給」を定めることが許される場合があります。

 

 

ただし,懲戒処分としての「減給」は,就業規則で定める必要があります。

「こういう場合にはこういう懲戒を与えますよ」ということをきちんと就業規則で規定しておかなければなりません。

 

 

そして,懲戒処分として減給する場合,その額は,最大でも,1回の減給の額は平均賃金の1日分の半額を超えてはならず,かつ,減給総額は1回に支払われる給料の10分の1を超えてはならないと決められています(労働基準法第91条)。

 

 

したがって,東京の事案では,まず,就業規則で定めていないにもかかわらず(報道では明らかではありませんが,おそらく)減給した点で違法です。

 

 

そして,本来もらえるはずの給料が2万3000円程度(25時間分)であるところ,1万円近く(10時間分)「減給」されているので,減給の額についても違法です。

 

 

さて,名古屋の事案では,勝手に減給したのではなく,「急に欠勤したら1回1万円の罰金を徴収する」という内容の書類に署名させていたとのことです。

これならいいのでしょうか。

 

 

この点については,労働基準法は「賠償予定の禁止」を定めています(16条)。つまり,会社(使用者)は「こういうことをしたら違約金幾らですよ」という取り決めを従業員と交わしてはいけないということです。

 

 

この規定は,もともとは,戦前に,「仕事を辞めたら違約金を払う」という取り決めをしておいて,過酷な労働を無理強いさせられていたことがあったことから,労働者を守るために作られた規定です。

 

 

名古屋の事案では,この「賠償予定の禁止」に違反したために書類送検されました。

 

 

 

大阪訴訟第2回期日が開かれました。

2017年 2月 14日

本日、大阪地方裁判所において、大阪訴訟第2回口頭弁論期日が開催されました。
第1回期日に負けないくらいたくさんの支援者が来てくださりました。今回も傍聴希望者多数のため、傍聴券は抽選となりました。

 

今回の期日では原告本人の意見陳述と準備書面の説明が行われました。

原告の意見陳述は、前回同様に心を打つものであり、本件ワクチンにより人生そのものを奪われたことを、しっかりと具体的に自分の言葉で話されました。

準備書面の説明は前回に引き続きパワーポイントで行われました。
パワーポイントによる説明では、子宮頚がんを防ぐためには、ワクチンよりも検診こそが真の予防手段であって、検診をしていれば早期治療が可能で子宮頚がんにはならないこと、ワクチンを接種しても結局検診は欠かせないことについて説明しました。

(左)記者会見で発言する原告18番さん
(左)記者会見で発言する原告18番さん

閉廷後は、進行協議と記者会見が行われました。

また、前回に引き続き、原告・弁護士・支援者らによる報告集会が開催され、傍聴できなかった支援者の皆さんに、期日内容の報告や意見交換などが行われました。

報告集会で発言する水口真寿美弁護士(全国弁護団共同代表)
報告集会で発言する水口真寿美弁護士(全国弁護団共同代表)

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社会人サッカーでの骨折

昨年の12月,サッカーの試合中に骨折した男性が接触した相手に対して治療費や慰謝料を請求した訴訟の判決が東京地裁で言い渡されました。

 

 

事案は,男性が右太ももでボールをトラップしてから左脚でボールを蹴ろうとしたところに,相手選手が左足を上げてシューズの裏で男性の左脚のすね辺りを蹴りつけてしまい,男性が左脚のすねを骨折したというものです。

 

 

判決は怪我をさせた選手に治療費や慰謝料約250万円の支払を命じました。

この判決については,「サッカーで怪我は当然起きることだから判決は厳しすぎる。」という声も多いようです。

 

 

さて,スポーツでの怪我について法律はどのように位置づけているのでしょうか。

実はスポーツの怪我といっても特別の法律はありません。

民法という一般的な法律の「不法行為」が成立するか否かで判断することになります(民法709条)。

 

 

不法行為というのは,交通事故もそうですし,誤って,他人の物を壊してしまったとか,誤って他人に損害を与えた場合に広く使われる法律構成です。

 

 

どういう場合に不法行為が成立するかというと,「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」場合です。

 

 

まず,行為が違法であること(「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害」)が必要です。

 

 

たとえば,ボクシングなどでは,顔が切れたり,鼻が折れたり,脳振盪を起こしたりします。

しかし,ボクシングは,「殴り合う競技」であり,選手は当然殴られることを承知の上でやっています。

ですから,ボクシングで相手を殴ることに違法性はありません。

 

 

他のスポーツも同様で,「通常その競技で予定されている行為」は違法ではありません。

サッカーで足を引っかけてしまうことは幾らでもあることであり,反則をとられたとしても違法ではありません。

足を引っかけられただけで裁判していたら誰もサッカーをしなくなるでしょう。

問題はその競技で「通常予定されている行為」かどうかです。

 

 

仮に,野球の試合で打者がバットでピッチャー殴ればどうでしょうか。

野球の競技として通常予定されている行為ではありませんね。

これは違法な行為です。

 

 

では,今回のケースはどうでしょうか。

サッカーなので足と足が当たるのは当たり前,といえるかも知れません。

 

 

しかし,今回の事案では,男性はすねを骨折したのですが,同時にすねを守るための「すねあて」(レガース)も割れていました。これらの事実から相当衝撃が強かったことが推測されます。

 

 

また,サッカーでは,シューズの裏を相手に向ける行為は危険な行為として禁止されています(サッカーのルールでは,接触しなくてもシューズの裏を相手に向けるだけでファウルになります)。

 

 

判決を読むことはできていませんが,裁判所は,上記のようなことを考慮して,今回の行為については,極めて危険な行為であり「サッカー競技として通常予定されていない行為」と判断して違法性を認定したのではないでしょうか。

 

 

 

 

HPVワクチン薬害大阪訴訟第2回口頭弁論期日のご案内

 

■日時:平成29年2月14日(火)14時~15時

■場所:大阪地方裁判所本館2階大法廷(202号法廷)

■サポーター・傍聴希望者集合

○時刻:13時15分

○場所:大阪地裁本館南側玄関前

  • 傍聴案内ダウンロードはこちら
  • 傍聴希望者は13:30までに裁判所本館南側玄関に集合して下さい。
  • 傍聴券の抽選に外れた方のために、弁護団が裁判の様子を分かりやすく説明します。
  • 裁判終了後には、弁護団による報告集会を予定しています。

【当日のスケジュール】※サポーター・傍聴希望者の方

13時15分   大阪地裁本館南側玄関前集合

13時20分ころ 原告団・弁護団入廷行動

13時30分   傍聴整理券交付・傍聴券抽選

抽選に外れた方はAP大阪淀屋橋4階Bルームへ
弁護団が 弁護団が 裁判 の様子を 分かりやすく説明します。

14時00分   第2回期日開廷(15時終了予定)

14時30分 弁護団による裁判の様子の説明(AP大阪淀屋橋4階Bルーム)

15時00分   閉廷(予定)

15時30分ころ 報告集会(AP大阪淀屋橋4階Bルーム

16時30分ころ 報告集会終了(予定)

 

【地図】

大阪地方裁判所

大阪市北区西天満2-1-10 地下鉄・京阪本線淀屋橋駅下車1番出口から徒歩約10分

AP大阪淀屋橋

大阪市中央区北浜3-2-25 京阪淀屋橋ビル4F
淀屋橋駅地下連絡通路17番出口から直結

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170214 大阪訴訟第2回期日傍聴案内
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IR整備推進法成立

昨年12月,カジノ法ともいわれる「統合型リゾート施設整備推進法」が成立しました。

もっとも,この法律で決まったことは「統合型リゾート施設の整備を進めることにする」ということだけであり,政府が1年以内を目処に具体策を定めた法律案を作ることになっています。

 

 

この法律については賛否両論(世論調査では反対の方が多いようです)ですが,法律的観点から検討したいと思います。

 

 

まず,法律は国会で作るものであり,今回,国会で法律が成立したのですから,憲法に違反しない限り「法律問題」ではないともいえます。

 

 

ただし,刑法という重要な法律では「賭博」が禁止されており,刑罰も定められていますから,「この法律は刑法との関係でどう考えたらよいのだろうか」という疑問が湧いてきます。

 

 

まず,そもそも,なぜ賭博は法律で禁止されているのでしょうか。

 

 

最高裁は,このように述べています。

「国民をして怠惰浪費の弊風を生じさせ,健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風(憲法27条1項参照)を損なうばかりでなく,甚だしきは暴行,脅迫,強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える虞すらある」(最高裁昭和25年11月22日判決)

 

 

つまり,「国民が賭博に夢中になって働かなくなったら困る」「イカサマ賭博などで喧嘩がおきたり,お金欲しさに強盗に走ったりしたら困る」ということのようです。

 

 

では,公営ギャンブルはなぜ許されるのでしょうか。

 

 

この点については,昭和40年4月6日の東京高裁判決では,「公共機関の厳重,公正な規制のもとにおける射幸心の発露は害悪を比較的些少にとどめ得る」と述べられています。

 

 

つまり,公的な機関が運営することで,不正が防止できるし,ギャンブル依存症になったりする人は少ないだろうから大丈夫だ,と言っているんです。

 

 

しかし,実際はどうでしょうか。ギャンブル依存症は社会問題になっています。

 

 

果たして,カジノはギャンブル依存症を増やしてしまわないのか,公的な機関が運営するのか(公的機関ではノウハウがないのでできないのではないかとの指摘もあります。)など,今後策定される具体的な法律の中身が重要になります。

 

 

 

 

HPVワクチン薬害訴訟 「全国疫学調査」に対する弁護団コメント(詳細版)

2016年12月26日発表の『青少年における「疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状』の受療状況に関する全国疫学調査』(全国疫学調査)結果報告に対する、HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団のコメント(詳細版)は、次のとおりです。

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161230-2 全国疫学調査の結果報告について.pdf
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HPVワクチン薬害訴訟

昨年12月14日、HPVワクチンの接種で被害を受けた女性たちが、国とグラクソ・スミスクライン社、MSD社を被告として、東京・名古屋・大阪・福岡の各地方裁判所に提訴しました。同年7月27日の全国一斉提訴に続き、今回が第2次の提訴となりました。

今回の第2次全国一斉提訴で、東京25名・名古屋5名・大阪7名・九州20名の合計57名が新たに原告に加わり、全国の原告数は総勢で119名となりました。

大阪では、二次提訴原告ご本人やご家族を中心に入廷行動を行い、弁護団が記者会見を開きました。大阪訴訟では2次提訴で7名の原告が加わり、1次提訴と合わせて原告23名となりました。どうか今後ともご支援下さい。

ジミー・ペイジ氏演奏せず

先日,東京で行われた「クラシックロックアワード」というイベントで,世界三大ギタリストの1人といわれるジミー・ペイジ氏が演奏しなかったことが話題になりました。

 

 

イベント告知のポスターには,ジミー・ペイジ氏の名前が大きく書かれており,ホームページなどでは「世界3大ギタリストの2人,ジェフ・ベックとジミー・ペイジは,日本初共演を果たすことになり・・」などと書かれていたそうです。

 

 

しかし,実際のイベントでは,ジミー・ペイジ氏は賞のプレゼンターとして登場したものの,氏の演奏はなかったとのことです。

 

 

そのため,「詐欺だ」,「チケット代を返せ」などの声が上がりました。

 

 

これに対して,当初,主催者側は,「本番直前にジミー・ペイジ氏の意向により演奏が行われなかった」,「ジミー・ペイジ氏の単独ライブではなくイベント自体は成立している」として,チケット代の返金には応じられないと述べました。

 

 

この点,法律的にはかなり難しい問題です。消費者契約法により契約を取り消せないかが問題となります。

 

 

消費者契約法4条1項1号によれば,事業者が「重要事項についての事実と異なることを告げ」て,消費者がそのことを信じて契約をした場合には,その契約を取り消せることになっています。これを「重要事項についての不実告知」といいます。

 

 

今回の事案では,イベントのオフィシャルページに「参加アーティスト」として,ジミー・ペイジ氏の名前が挙がっていますし,ポスターにも大きく名前が載っていて,「ロック・レジェンドたちによる夢の響演」などと謳っています。

 

 

これらの事情からすれば,あたかもジミー・ペイジ氏が演奏するかのように宣伝していますので,「重要事項についての不実告知」に該当しそうです。

 

 

しかし,チケット業者のウェブページなどを見ますと,「内容は一部変更になる場合があります」などと記載されています。このような点も考えると,直ちに契約を取り消せるかは微妙です。

 

 

もっとも,その後,主催者は,「イベントに失望された来場者」にはチケット代を返金すると発表したそうです。

 

 

 

 

次期リーダー講習会

平成28年11月23日,ロータリークラブの仕事で豊岡に行きました。

 

今年度、私は宝塚ロータリークラブの「青少年奉仕委員会」の委員長を務めていて、来年に行われる「インターアクト地区年次大会」の実行委員長も兼務しています。

 

「インターアクトクラブ」とは、ロータリークラブにより提唱された、12歳から18歳までの青少年または高校生のための社会奉仕クラブです。

 

今回は、インターアクト地区年次大会の関連事業である「次期リーダー講習会」に参加しました。

 

兵庫県内のインターアクト部の部員が豊岡に集まり、畑での野菜の収穫やグループに分かれてのワークショップなどが行われました。

 

生徒たちは少々照れながらも和気藹々と他の学校の生徒と交流を深め、ほんの少しかもしれませんが、リーダーの素質を身につけたのではないでしょうか。

 

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HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)薬害大阪訴訟第1回口頭弁論が行われました

118日、大阪地方裁判所において、大阪訴訟第1回口頭弁論期日が開催されました。

 

たくさんの報道陣に囲まれて、原告、弁護士及び支援者の方が法廷に入って行きました。


法廷は202号大法廷です。傍聴希望者多数のため、傍聴券は抽選となりました。
原告席、被告席そして傍聴席全て満席の状態で開廷されました。


原告の訴状陳述及び被告の答弁書陳述の後、原告本人(被害者本人)による意見陳述が行われました。
原告の意見陳述は、冷静でかつ力強く、本人の心の叫びといえる内容でした。
原告らはもちろんのこと、裁判官もしっかりと原告の顔を見つめて聴いていました。


原告の意見陳述の後は、原告弁護団による訴状の内容についてのパワーポイントによる説明が行われました。


民事裁判でパワーポイントを利用するのは異例のことですが、関心を持って参加されている傍聴席の方にも分かりやすいように、原告側が裁判所に申し入れて実現しました。

パワーポイントによる説明では、本件薬害の被害の深刻さ、本件ワクチンの効果が極めて限定的であること、本件ワクチンの危険性が重大であること、本件ワクチンの承認などの経緯が杜撰であったことなどを分かりやすく解説しました。

閉廷後は、進行協議と記者会見が行われ、原告、弁護士、支援者による報告集会が開催されました。

報告集会では、傍聴券の抽選に外れた方のための期日内容の報告や原告同士の交流などが行われ、今後の裁判も全力で戦っていく決意を再確認しました。

 

口頭弁論終了後は、報告集会を行いました。

 

 

 

 

大阪の次回期日は2月14日です。

 

  

■HPVワクチン薬害大阪訴訟第2回口頭弁論期日

 

日時:2017214日午後2時開廷

場所:大阪地方裁判所2階大法廷

 

 

 

職場での旧姓使用

 

先日,職場での旧姓使用に関する判決が東京地裁でありました。

私立学校の教員が職場での旧姓使用を認めるように求めていた訴訟です。

判決は学校側の言い分を認めて教員の請求を棄却しました。

 

 

最近,旧姓使用の問題や夫婦別姓の問題などがかなり議論されています。

 

 

東京地裁の判決を解説する前に,昨年12月に出された夫婦別姓に関する最高裁判決を見ておきましょう。

この裁判は,夫婦別姓を認めていない現行民法の規定が憲法に違反するかどうかが争われた裁判です。

 

 

最高裁は,夫婦別姓を認めていないことは憲法には違反しないとの判断を示したのですが,その理由の一つとして,旧姓を通称として使用することが社会的に広まっているので,夫婦別姓制度を導入しなくてもそれほど不利益はない,ということを述べています。

 

 

実際,国家公務員では平成13年に旧姓使用が認められていますし,東京都立の学校では平成14年に認められています。弁護士も旧姓使用は認められていますし,3年ほど前に一部上場企業などを対象としたアンケートでは旧姓使用を認めている企業の割合は64.5%だったそうです。

 

 

まさに旧姓使用は「社会的に広まっている」といえるでしょう。

 

 

では,今回の東京地裁の判決を見てみましょう。

 

 

今回の判決は,旧姓について,「個人が結婚前に築いた信用,評価の基礎となるもので,通称として使う利益は法律上保護される」と認めています。

しかし,「医師など旧姓が認められない国家資格も多数ある。」,戸籍上の氏は旧姓に比べて,「より高い個人識別機能がある」等を理由として「旧姓が戸籍名と同じように使われることが社会で根付いているとまでは認められない」と述べました。

 

 

判決文全文を読んだわけではないのですが,さきほどの最高裁判決と比べると若干違和感があります。

 

 

最高裁は旧姓使用が社会的に広まっていることを理由の一つとして,夫婦別姓制度がなくても不利益は大きくない,と述べていましたので,今回の判決は最高裁の認識と整合性がないように思えます。

 

 

教員は控訴するとのことですので控訴審にも注目したいと思います。

 

 

 

 

ワンセグのNHK受信料

今年の8月に,ワンセグのNHK受信料についての判決のニュースがありました。

テレビを設置せず,ワンセグ付きの携帯電話を所有しているだけでNHKの受信料を支払う義務があるかについて争われた裁判です。

(埼玉県朝霞市の市議会議員が訴えていました。)

 

 

さいたま地裁は受信料を支払う義務はないという判決を下しました。

 

 

NHK受信料については放送法に規定があります。

放送法64条1項によれば,NHKを見ても見なくても,NHKを受診できる「受信設備を設置した者」は,受信契約をしなければならないとされています。

 

 

よく「俺はNHKを見ないから受信料は払わない。」という人がいますが,法律上は,家にテレビを置いていれば払わないといけません。

 

 

では,ワンセグはどうでしょうか。ワンセグというのは携帯電話でテレビが見られる機能です。

 

 

テレビはテレビなので受信料を支払う義務がありそうにも思えます。

 

 

裁判で争点となったのは,放送法64条1項の「受信設備を設置した者」の「設置」の部分です。

「設置」という言葉からはどういうイメージが浮かぶでしょうか。

携帯を持ち歩くことは「設置」でしょうか。

 

 

まさにこの点が争点でした。

訴えた人は,携帯電話のワンセグは「設置」ではないと主張しました。NHKは「設置」とは「受信設備を使用できる状態に置くこと」だと主張しました。

 

 

結論的に,判決は,NHKの主張は「相当の無理がある」と言って退けました。

 

 

法律家として興味があるのは,判決が用いた理論構成です。

判決は受信料について,「放送視聴の対価ではなく,NHKの維持運営のために徴収権が認められた特殊な負担金」であると指摘し,「税金に準じる性格」があるため,契約締結義務の要件は明確でなければならない,と述べました。

 

 

少し難しいですが,「租税法律主義」という原則があります。日本国憲法84条に規定されている原則であり,税金を取るためには法律を制定しなければならない,そして,その法律は要件が明確でなければならないという原則(課税要件明確主義)です。

 

 

どういう場合に税金を払わないといけないかが,いい加減な決め方では困りますよね。権力者が「この人は嫌いだからたくさん取ろう。」とかいうのでは困ります。

だから課税要件は明確でなければならないということです。

 

 

さて,今回の判決の話に戻ります。

判決は,NHKの受信料を税金に似ている,と述べたわけです。

NHKは常日頃,「受信料は公共放送の維持のためです。」と言っていますね。

裁判所はその点を上手く利用したようにも思えます。

 

 

そして,受信料は税金に似ているから,どういう場合に受信料を徴収するのかは明確でないといけない,そして,「設置」という言葉の意味として明確に「携帯」電話が含まれるのかというと「相当無理がある」という結論を導いたのです(放送法2条14号で「設置」と「携帯」を使い分けていることも理由にしています。)。

 

 

 

 

HPVワクチン薬害訴訟提訴

 

7月27日、全国4地裁で一斉提訴を行いました。大阪地裁では16名が提訴しました。

 

14時半に大阪地方裁判所に入廷し、15時より記者会見を行いました。

 

記者会見では、3名の原告(被害者)本人が出席し、提訴に踏み切ったお気持ちを訴えまし  た。

 

会見には多数のマスコミが参加し、関心の高さと被害者への共感が伝わってきました。

 

 

HPVワクチン薬害訴訟とは

 

「子宮頸がん予防ワクチン」とのふれこみで接種されたHPVワクチンによって深刻な副作用被害が発生し,多くの被害者が今なお苦しんでいます。

 

被害者は,2013年3月に「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」を結成し,多くの方の支援を得て活動動宮頸がんし,2015年3月には全面解決要求書を国と企業に提出していますが,真の救済や再発防止にはほど遠い状況です。

 

訴訟により国と企業の法的責任を明確にし,それを基盤に真の救済と再発防止を実現していきたいと考えています。

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18歳未満の選挙運動

 

18歳以上の選挙権の行使が認められるようになり,新たに約240万人の有権者が投票できるようになりました。

 

 

18歳,19歳といえば,ツイッターなどのSNSの世代ですね。

ツイッターなどで気に入った候補者を応援するメッセージを投稿したりするなどの行為が広がったとのことです。

 

 

未成年者は今まで「選挙運動」ができませんでしたが,今回の法律改正で「18歳以上」であれば選挙運動ができるようになりました。

しかし,「18歳未満」は改正後も「選挙運動」ができません。

 

 

そもそも,「選挙運動」とは何でしょうか。

選挙運動とは「特定の選挙について,特定の候補者の当選を目的として,投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。

要するに,選挙で候補者を応援することですね。

 

 

どうして未成年者は選挙運動を禁止されていたのでしょうか。法律改正後も,どうして18歳未満の人は選挙運動ができないのでしょうか。

 

 

一般的に言われているのは,「選挙に出る人や候補者を応援する人にはいろいろな思想の人がいて,未成熟な子供が選挙運動に巻き込まれると一定の思想に洗脳されてしまい,正常な判断ができなくなるおそれがある」ということです。

 

 

以前お話しした「パターナリズム」です。国家が,未熟な子供を守ってあげるという考え方です。

 

 

一例を挙げれば,未成年者の喫煙や飲酒の禁止がそうです。大人はいいけれども,未成年者が喫煙や飲酒をすると身体の成長にも悪いし,子供は正しい判断ができず飲む量をコントロールできないから法律で禁止するということです。

 

 

しかし,18歳未満の選挙運動を禁止するというのは少し違和感を覚えます。

選挙運動は,憲法で認められた民主主義を支えるための重要な活動です。

安易に禁止するべきではありません。

 

 

しかも,タバコや飲酒の禁止には罰則規定がありませんが,18歳未満が選挙運動をすれば罰則があります。

(※1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金と5年間の選挙権停止)

 

 

未成年者が喫煙や飲酒をしても罰則がないことの理由としては,「未成年者を守るための法律だから」だと言われています。

そうすると,同じく未成年者を守るためといいながら,選挙運動の禁止には罰則があるというのは不思議です。

 

 

このように現行の公職選挙法は,個人的には少し疑問に思っています(他にもありますが省略します)。

新しく有権者になられた18歳以上の方達は,しっかりと投票に行って欲しいのはもちろんですが,これを機会に公職選挙法や憲法についても勉強してもらえればと思います。

 

 

 

地震によるブロック塀の倒壊

 

 

熊本の震災は大変心が痛みます。

個人的には義援金を送るくらいしかできずもどかしい限りです。

 

 

私にできることは法律の話くらいですので,今回は,いつ来るか分からない地震に備えて,地震と関連する法律の話をしたいと思います。

 

 

たとえば,地震により自分の家が倒壊したりブロック塀が倒れて他人が怪我をした場合,誰がどういう責任を負うのでしょうか。

 

 

まずは,民法717条の「土地工作物責任」が問題となります。

「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵がある」ことによって,他人に損害を与えたときは,その工作物の占有者又は所有者が損害を賠償しなければならない,と規定されています。

 

 

「瑕疵」とは簡単に言うと「欠陥」のことです。「瑕疵」があるとは,その物が通常備えているべき安全性を備えていないことをいいます。

 

 

たとえば,(土地の工作物ではないですが)椅子であれば,人間が座って壊れるようなものは「通常備えているべき安全性を備えていない」といえますが,「象が乗っても壊れない」ことまでは要求されていないでしょう。

 

 

では,建物やブロック塀などは,どの程度の安全性が必要なのでしょうか。

 

 

これに関しては有名な裁判例があります。

昭和53年に発生した宮城県沖地震によって,ブロック塀が倒れて通行人が亡くなった事故があり,亡くなった方の遺族が裁判を起こしました。

 

 

これについて仙台地方裁判所が一つの基準を示しました。

その基準とは,「仙台市近郊において通常発生することが予測可能な地震動に耐えうる安全性があるか否かで判断する」というものです。

 

 

そして,当時,仙台では,過去に震度6以上の地震の観測例がなかったので,震度5程度が予測可能な地震であり,震度5程度の揺れに耐えられる強度があれば責任がないと述べました。

(結論として,その場所で震度5を超える揺れがあった可能性があるとして責任を否定しました。)

 

 

しかし,これはあくまで一例ですので,阪神淡路大震災や東北大震災で震度7を記録した地域などで,今後,同様の事故が起きた場合には,「震度7まで耐えられる強度が必要だ」との判断が出る可能性もあります。

 

 

以上は建物の占有者と所有者の責任の話ですが,この他に,建物を建てた業者の責任が生じる場合があります。

 

 

建築確認の基準を満たしていなかったり,手抜き工事による欠陥があったりした場合には,施工業者へ責任を追及することができます。

 

 

この場合,被害を被った被害者が直接施工業者へ責任を追及することができる場合もありますし,先に述べた「土地工作物責任」を追及されて損害賠償を支払った工作物の占有者や所有者が施工業者に責任を追及できる場合もあります。

 

 

 

 

イベント会場近くでの落雷

 

 

先日のニュースで,音楽イベントが開催されたときに,イベント会場の近くで雷に撃たれて亡くなられた方の裁判の判決がありました。

 

 

遺族であるご両親がイベント会社に対して損害賠償を求めた裁判です。

大阪地裁は遺族の請求を退けました。

 

 

報道によると,裁判所は「落雷については抽象的には予見できたが具体的な予見は無理だった」「野外での落雷回避は自己責任」「コンサート会場から距離があったので避難誘導をする義務はなかった」などと述べているようです。

 

 

これに対しては,ご両親は「自己責任というが一体どこに非難しろというのか」というコメントを述べたとされています。

 

 

なかなか難しい問題です。この判決が妥当かどうかというのは判決文を見ていないので簡単には答えられませんが,参考になる判決があります。

 

 

平成8年にサッカー大会の試合中に高校生が雷に打たれて重い障害が残った事故がありました。

被害者が通っていた高校(私立)と大会主催者に対して裁判を起こしました。

 

 

この裁判は,被害者が一審(平成15年)も二審(平成16年)も敗訴しましたが,最高裁で審理のやり直しを命じられ(最高裁平成18年3月13日判決),その結果,被害者の逆転勝訴になりました。

 

 

つまり,裁判官でも判断が分かれるほど難しい事案だったということです。

 

 

一審と二審は,雷がグラウンドに落ちるということを予見するのは難しいだろうと述べました。

 

 

しかし,最高裁は,雷鳴が聞こえていたなら雷がいつ落ちてもおかしくはないと考えないといけないと述べました。

 

 

サッカーの事案も今回の事案も大変難しい事案です。

 

 

ただ,この2つの事案を比べてみると,サッカーの試合のほうは,サッカーをしている試合の最中にピッチの上で雷に撃たれています。

今回の事故はコンサート会場の外であるというところが,やはり大きな違いなのではないかと思います。

 

 

 

 

交通事故・過失割合

交通事故の過失割合は誰が決めるのでしょう?

 

 

保険会社が決めると思っていませんか?

保険会社が「7対3」といえば,「そういうものなのか。」と簡単に納得していませんか?

実は,保険会社には過失割合を決める権利なんてありません。

 

 

過失割合を誰が決めるかというと,まずは「当事者」が交渉して決めます。

「過失割合を当事者が決める。」というと違和感があるかも知れませんが,「あなたにも3割程度の過失があるでしょう。」「そうですね。それくらいはあると思います。」という感じで合意できれば,「7対3」で決まるのです。

 

 

では,当事者で合意できなければどうなるのでしょうか?

この場合,「裁判所」が決めます。

裁判所はどうやって決めるのかというと,事故当時の道路状況,交通量の状況,見通しが良いか悪いか,事故に至った経緯,速度超過などの違反の有無等を総合して決めます。

 

 

つまり,裁判で事故の状況などについての証拠を十分に審理し尽くして裁判所が決定するのです。

ですから,裁判所でもない保険会社が決められるわけはないのです。

 

 

保険会社が提示する「過失割合」は,あくまで,これまでの裁判例を分析して類型化したモデルの中で近いものにあてはめているに過ぎません(しかも,通常,保険会社にとって有利になるモデルを選びます。)。

 

 

このように,保険会社が提示する「過失割合」というのは,あくまで保険会社の「考え」に過ぎません。

納得いかない場合は,必ず弁護士に相談すべきです。

 

 

 

自賠責保険が適用される「運行」とは

自賠法では,「自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合」に保険金が出るとされています(自賠法1条)。


そして,「運行」とは,「人又は物を運送するとしないとにかかわらず,自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう。」とされます(自賠法2条2項)。


これでは抽象的で分かりにくいですね。


エンジンを掛けて走っているときの事故だけなのか?サイドブレーキがゆるくて動き出したときの事故はどうなのか?コンクリートミキサー車のミキサーの回転で事故をしたらどうなのか?


学説には,原動機説(原動機の作用により自動車を移動させること),走行装置説(原動機装置の他にハンドル装置,ブレーキ装置等の走行装置も含まれる),固有装置説(走行装置だけでなく,クレーン車におけるクレーン等特殊自動車等に固有の装置を使用することも含む),車庫出入説(車庫を出てから車庫に格納されるまでであれば途中の駐車や停車も含む)等の複数の説があります。


最高裁判例は固有装置説を採用しています(昭和52年11月24日判決)。


したがって,サイドブレーキの緩み,走行停止中のクレーン車のクレーン操作,走行停止中のミキサー車のミキサーの回転等が原因による事故には自賠責保険の適用があります。

 

 

 

交通事故・人身(慰謝料)

慰謝料には,傷害慰謝料(入通院慰謝料ともいいます),後遺障害慰謝料,死亡慰謝料があります。


傷害慰謝料は,怪我をして痛い思いをしたり不便な生活を送ることで苦痛を感じたりすることに対する慰謝料です。通常,入院期間と通院期間を基準にして算定されます。


後遺障害慰謝料は,後遺障害が残った場合に,後遺障害により不便な生活を強いられたり,思うように仕事ができなくなることの苦痛に対する慰謝料です。通常,後遺障害等級を基準にして算定されます。


死亡慰謝料は,死という苦痛に対する慰謝料です。実際は遺族が請求することになります。

 

 

 

交通事故・人身(死亡による逸失利益)

死亡による逸失利益は基礎収入から被害者本人の生活費として一定割合を控除し(亡くなったことにより生活費がかからなくなるので),働けるはずであった年数(就労可能年数といいます)をかけます。


ただし,そのままでは金利の分だけもらい過ぎになるため金利の分を逆算して控除します(中間利息控除といいます)。

 

 

 

交通事故・人身(後遺障害による逸失利益)

逸失利益とは,事故による後遺障害が残った場合,将来にわたって収入が減少する可能性が高いので,その分を埋め合わせる損害項目です。


具体的には,従前の収入の額,後遺障害等級などによって異なってきます。


収入が多いほど,後遺障害等級が重いほど,金額は高くなります。

 

 

 

交通事故・人身(休業損害)

交通事故のため休業して,休業によって収入が減少した額が明確な場合はその額が損害額となります。


収入の減少額が明確に分からない場合は,「基礎収入」に「休業期間」をかけて算定します。


「基礎収入」は,一般的には次のように決めます。
給与所得者・・事故直前3か月の平均収入
事業所得者・・事故直前の申告所得額
家事従事者(主婦)・・女性の平均賃金

 

 

 

交通事故・人身(付添看護費)

入院または通院の付添看護費は,医師の指示があった場合または症状の程度などから付添看護が必要と認められる場合に請求できます。


ですから,例えば,病院から,「うちは完全看護ですから付添は必要ないですよ」と言われている場合は,認められない可能性が高いといえます(但し,例外もあります)。


付添看護費が損害として認められる場合の損害額は,プロの付添看護を頼んだ場合は,実費(ただし,不必要に高い部分は認められない),近親者の場合は,大阪地裁の基準では,入院1日あたり6000円,通院1日あたり3000円です。

 

 

 

交通事故・人身(交通費)

交通費は,基本的に,入退院・通院にかかった実費を請求できます。


ただし,タクシー代は,障害の程度や交通の便からみて相当性がない場合(タクシーでなくても通院できる場合)には請求できません。


この場合,公共交通機関を利用した場合の料金を請求できます。


自家用車での通院の場合,ガソリン代を請求できます。一般的には,1kmあたり15円というのが相場です。

 

 

 

経歴詐称について

 

 

「経歴詐称」ということがよく話題になります。

今回は経歴詐称が犯罪になるかについて考えてみましょう。

 

 

経歴詐称というと「詐欺罪」が頭に浮かぶかもしれません。

「詐称」の「詐」の字は詐欺の「詐」ですからね。

 

 

「詐欺罪」というと、どういうイメージでしょうか。

「嘘をつく」「騙す」というイメージですね。

 

 

実は、嘘をついただけでは詐欺罪にはなりません。

嘘をついて財産的な利益を得た場合に詐欺罪になります。

 

 

たとえば、全く根拠がないのに「がんが治る薬だ」と言って薬を売ると、嘘をついて金銭を得ているので詐欺罪です。

 

 

それでは、経歴詐称が詐欺罪になるか考えてみましょう。

経歴を偽って、テレビに出演する契約をして金銭を得ているから詐欺罪になりそうにも思えます。

 

 

しかし、話はそう簡単ではありません。

詐欺罪が成立するためには、嘘と結果との間に因果関係が必要です。

 

 

つまり、金銭を渡した人が「嘘を信じたから金銭を渡した」という関係が必要なのです。

経歴詐称でいいますと、経歴を信じたから契約したという関係が必要です。

そして、契約するに至った主要な理由がその嘘であることが必要です。

 

 

ですから、たとえば、テレビ局がその人の経歴を信じて、それが主要な理由で契約したわけではなく、その人が各方面で活躍していることやその人の才能や魅力に注目して契約した、というのであれば、詐欺罪は成立しません。

 

 

このように「経歴詐称」といっても、それだけでは詐欺罪かどうかは判断できないのです。

経歴を信じたことにより騙されて金銭などの財産的な利益を与えたと判断されれば、経歴詐称でも詐欺罪が成立することはあり得るでしょう。

 

 

 

 

交通事故・人身(入院雑費)

交通事故に遭い入院すると、どうしてもこまごましたものを購入することになりますよね。


そのような費用も交通事故に遭ったから必要になったわけですので、請求できます。


ただし、何百円のレシートをすべてとっておいて請求するのも大変だし、レシートを出されても、入院のために必要になった費用なのかどうか審査するのも大変です。


そこで、一つ一つを証明するのではなく、平均的な費用を「入院雑費」として請求することになっています。入院雑費の基準は大阪地裁では1日あたり1500円です。

 

 

 

交通事故・人身(治療費)

治療費・入院費は必要かつ相当な実費を請求できます。


何が必要かつ相当かというのは微妙なのですが,ごくおおざっぱに言えば,医師がその治療が必要と考えるかどうかで決まります。


整骨院・接骨院などの施術費は,医師の指示による場合には認められる傾向にあります。


医師の指示がない場合であっても,症状に対して有効かつ相当と認定されれば認められる場合がありますが,簡単には認められないので注意が必要です。

 

 

 

交通事故・物損(レッカー代・慰謝料)

事故によって必要になったレッカー代は一般的には認められます。


慰謝料は物損の場合、残念ながら認められません。
とても愛着のある車が傷付いて悲しいと言っても、認められないのです。


愛着のある車(車に限りませんが)が壊されれば悲しい思いをするのは当然なのですが、日本では慰謝料をあまり広く認めないという裁判文化があります。
「悲しみ」という主観的なものを測る物差しがないので致し方ないのかもしれませんが・・・

 

 

 

交通事故・物損(休車損害)

今回は休車損害について。


営業用車両が修理のために使用できず、それによって利益が減少した場合に利益の減少分について認められます。


もっとも、前回書いた代車使用料が認められる場合には、休車損害は認められません(これを認めると二重にもらうことになってしまうため)。

 

 

 

交通事故・物損(代車使用料)

今回は代車使用料について。


事故により代車を使用する必要性があり、実際に利用した場合に認められます。


しかし、一般的には、修理期間として通常必要な期間の分しか認められません(2週間〜1か月程度しか認められないことが多いです)ので、早めに修理に出すべきです。

 


必要な期間を超えて利用していたと認定されると、自腹を切ることになってしまいます。

 

 

 

交通事故・物損(評価損)

評価損とはいわゆる格落ちのことで、事故歴による商品価値の低下です。


評価損は必ずしも認められるものではなく、否定される場合もあります。
通常、損傷の程度、修理内容、修理額、初年度からの経過期間、走行距離、車種などを総合考慮して決められます。

 

 

 

交通事故・物損(車両修理費)

被害者は、基本的に修理額相当額を請求できます。実際に修理してから請求してもいいし、修理する前の見積の段階で請求することもできます(もっとも、不当に高い見積は否定されます)。


しかし、修理代が車両の時価額を上回る場合は、車両の時価額しか請求できません。


ですから、車両の時価額が100万円で、修理代の見積が200万円の場合、100万円しか請求できません。
こういう場合、愛着のある車であっても手放さざるを得ないこともあります。

 

 

 

交通事故「駐車中の事故」

駐車中の事故について


駐停車中の事故に自賠法が適用されるでしょうか?
自賠法1条の「運行によって」と言えるかどうかの問題(「運行起因性」といいます)です。


まず,特殊自動車が停車中に装置を操作をしていた場合(例えばクレーン車のクレーン),捜査中の事故は運行起因性は認められます。


次に,駐停車中のドアの開閉による事故も「運行起因性」が認められます。


さて,駐停車中の荷積み荷下ろし中の事故はどうでしょうか?


これは判例が分かれています。

 

 

否定判決(最高裁昭和56年11月13日判決)と肯定判決(最高裁昭和63年6月16日)があります。
判決が分かれた理由はかなり微妙ですが走行との連続性や荷台の性質などを考慮して判断しているものと思われます。


駐停車車両への追突の場合,駐停車車両は「運行によって」と言えるでしょうか?
言い換えると,追突された駐停車車両に過失割合が認められるでしょうか?


この点について,従来は,追突したほうが100%と言われていましたが,近年は状況を総合的に判断してきめ細かい認定がなされる傾向にあります。


例えば,駐停車禁止区域である場合,ハザードランプを点滅させていない場合,見通しの悪い場所で駐車していた場合などには1割〜3割程度の過失が認定されています。

 

 

 

交通事故における「信頼の原則」

最近,当事務所において交通事故案件を扱うことが増えてきています。

 

 

なので,何回かに分けて交通事故について書いていこうと思います。

 

 

今回は,「信頼の原則」について

 

 

交通事故において「信頼の原則」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?


判例によると,信頼の原則とは「他の交通関与者が交通秩序に従った適切な行動を取ることを信頼するのが相当である場合には、その者の不適切な行動によって生じた交通事故について加害者たる交通関与者は責任を負わない」ものと説明されています。


具体的には,交通ルールに則って周りを注意して運転していても,相手が通常では予想できないような避けられないような動きをした場合には,過失がない(過失割合がゼロ)ということになります。


ここで,重要なのは,まず,基本的に自分が「交通ルールに則っていること」が必要です。


「急な飛び出しだから避けられなかった」と主張をしても,制限速度50キロメートルの道路なのに自車が70キロメートルを出していた場合,「制限速度を守っていたら避けることは可能だった」と認定される場合があります。


次に,相手が「通常では予想できない」動きをした場合に限られます。ここでいう「通常」とは,相手の属性によって異なります。


例えば,小さな子供が歩行していた場合,子供は不用意に車道にはみ出すことが「通常」あり得ます。
このような場合,「子供が飛び出すはずはないと思った。」と言っても通用しません(過失はゼロにはなりません)。


このように,「信頼の原則」があるといっても,ドライバーには常に慎重な運転が要求されていますのでご注意ください。

 

 

「認知症事故,家族に賠償責任なし」の逆転判決

 

 

認知症の男性が電車にはねられて死亡した事故で,家族が賠償責任を負うかが争われていた裁判で最高裁の判決が出ました。

 

 

最高裁は,死亡した男性の妻に賠償責任を認めた2審の名古屋高裁判決を破棄し,賠償責任を否定する判決を言い渡しました。

 

 

この裁判の争点は「責任無能力者の監督義務」(民法714条)です。

 

 

「責任能力」というと,以前,小学生が蹴ったボールを避けようとしてバイクが転倒した事件についてお話ししたときにも説明しましたね。

 

 

「責任能力」とは「自分の行動の結果,どのような責任が発生するか理解できる能力」といわれています。

認知症といっても程度は様々ですから,認知症であれば責任能力がないということではなく,重度の場合に責任能力が否定されます。

 

 

今回の件では,男性は重度の認知症で責任能力がなかったと裁判で判断されました。

 

 

そして,責任能力がない人が誰かに損害を与えた場合には,その人を監督する法定の義務を負う者(法定の監督義務者)が賠償責任を負うことになっています(民法714条1項本文)。

もっとも,法定の監督義務者がその義務を怠らなかったことを証明すれば賠償責任を負いません(同条項ただし書き)。

 

 

たとえば,未成年者の場合,基本的に親が「法定の監督義務者」です。民法820条に規定されています。

 

 

今回の件では,未成年者ではないので,同居していた妻と同居していない長男が,「法定の監督義務者」に該当するか否かについて争われました。

 

 

1審名古屋地裁では,妻は「法定の監督義務者」には当たらないが,「見守りを怠った過失がある。」と認定されました。長男は「事実上の監督者」だとして責任を認めました。

 

 

2審名古屋高裁では,妻は法定の監督義務者であるとして責任を認め,長男は法定の監督義務者ではないとして責任を否定しました。

 

 

名古屋高裁が妻を法定の監督義務者とした根拠は,夫婦の協力義務を定めた民法752条です。

 

 

1審,2審判決に対しては,「認知症の人は監禁しろというのか」などの批判の声が大きかったようです。

 

 

最高裁では,妻も長男も法定の監督義務者にあたらず賠償責任は負わないと判断しました。

この最高裁判決に対しては評価する声が高く,私も判決文を読みましたが結論には賛成です。

 

 

ただし,最高裁は,例外的に,日常生活の状況などによっては,「法定の監督義務者に準ずべき者」として賠償責任を負う可能性を示唆しています。

 

 

この点については,「例外的に賠償責任を負う場合がよく分からない」「積極的に介護にかかわればかかわるほど責任が認められやすくなるのではないか」という不安の声もあります。

 

 

また,「今回はJRという大企業だから感覚的に納得している人が多いけど,たとえば,認知症の人が他人を怪我させたり死亡させた場合でも誰も責任を取らなくていいのだろうか。」という声も聞かれます。

 

 

非常に難しい問題です。

高齢化社会が進んでいる中,今後も同様の問題が起きそうです。裁判で決着を付けるのではなく,社会全体で考えていかなければならないと思います。

 

 

  

覚せい剤が禁止されている理由

 

 

元プロ野球選手の覚せい剤所持及び使用の疑いの件が話題になっています。

元プロ野球選手の件については裁判も終わってないのでコメントは控えますが,今回は覚せい剤などの薬物の使用などが法律で禁止されている理由について考えてみたいと思います。

 

 

麻薬や覚せい剤の使用などは犯罪とされています。刑罰もかなり重いです。

なぜ,薬物の使用などは禁止されているのでしょうか。

 

 

理由は一つではありません。

法律学者によっても多少見解は異なりますが,4つくらいの理由が挙げられています。

 

 

まず一つ目。

薬物に依存してしまい,繰り返し使用することで身体や精神がボロボロになってしまう。

 

 

二つ目。

薬物の濫用による幻覚や妄想で重大犯罪を犯す場合がある。

少し違う理由ですが,薬物を入手するためのお金が欲しくて犯罪を犯す場合もあり,そのことを理由に挙げる学者もいます。

 

 

三つ目。

薬物が蔓延して多くの国民が薬物中毒になってしまうと,勤労意欲がなくなり,仕事をしなくなり,国家として成り立たなくなる,というもの。

 

 

四つ目。

暴力団の資金源になるというもの。

薬物の全てが暴力団ルートというわけではありませんが,暴力団がかかわっているケースが多いと言われています。

薬物の購入代金が暴力団の資金になるということと,薬物に依存してしまうと薬物の購入代金が必要となり,お金欲しさに薬物の売人になってしまい,そうするとさらに薬物が蔓延する,ということも言われています。

 

 

 

和歌山刑務所見学

平成28年3月3日、兵庫県弁護士会人権擁護会が主催する和歌山刑務所見学会に参加しました。

 

 

和歌山刑務所は女子刑務所です。また、F級と呼ばれる女子外国人受刑者も収容しています。

敷地面積は36,820㎡と、街中にあるにしては相当広いです。

 

 

見学は弁護士9名で参加しました。

最初に所長より施設の概要説明があり、その後、施設内を見学しました。

 

 

男子刑務所に比べて塀が低く、壁の色使いなども柔らかい印象を受けました。

 

 

施設では、刑務作業、職業訓練、一般改善指導、特別改善指導、教科指導等が行われています。

 

 

刑務作業の特色としては、洋裁等に力を入れているようです。

また、職業訓練としては、介護福祉科、美容科、販売サービス科、ビジネススキル科があり、女子受刑者の社会復帰を意識した内容になっています。

 

 

和歌山刑務所で特徴的なのは、敷地内に「白百合美容室」という美容院があることです。

ここでは、職業訓練の一環として美容師資格のある女子受刑者が一般のお客さんの髪を切っています。カットは1200円です。パーマもあります。常連のお客さんが多いらしいです。

 

 

最後に受刑者が作った製品の展示即売所に行きました。

あまり知られていませんが、受刑者の製品は品質が良く、「CAPIC」というブランドで売られています。

 

いい感じのペン立てがあったので購入しました。

 

 

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不動産会社による芸能人の情報漏洩

 

 

先日,大手不動産仲介業者の従業員が,有名な俳優と女優の夫婦が自分が勤務する店舗に賃貸物件を探しに来たことをツイッターに投稿したということが話題になりました。

 

 

法律上,どのような問題があるでしょうか。

 

 

まずは,宅地建物取引業法(いわゆる「宅建業法」)違反が問題になります。

大手不動産仲介業者は当然,宅建業法に規定された「宅建業者」に該当します。

 

 

宅建業法45条には,宅建業者は「正当な理由がある場合でなければ,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」と規定されています。

 

 

今回の件は「正当な理由」などあるはずはないですから,この規定に違反するでしょう。

 

 

この規定に違反した場合,宅建業者は場合によっては業務停止処分などもあり得ます(宅建業法65条2項2号)。

 

 

また,正当な理由なく秘密を漏らした従業員には刑事罰が規定されており(宅建業法83条1項3号),場合によっては50万円以下の罰金に処せられます。(ただし親告罪。83条2項。)

 

 

次に民事上の損害賠償責任が問題となります。

被害者である有名人夫婦が,秘密を漏らした従業員にプライバシーの侵害として損害賠償を請求することが可能だと思われます(民法709条)。

 

 

損害賠償の内容としては,この件で特にお二人の社会的評価が落ちるとは言いがたいので不愉快な思いをした慰謝料ということになろうかと思います。(請求しないとは思いますが・・・)

 

 

この場合,お二人は不動産仲介会社に対しても使用者責任(民法715条)を追及できます。

 

 

また,仮に,夫婦からの損害賠償責任の追及がない場合であっても,今回の件でずいぶん会社の信用は低下したのではないでしょうか。

会社としては従業員に対して,会社の信用を低下させたことを理由に損害賠償を請求することが可能だと思われます(もっとも会社が損害額を立証することは容易ではありませんが・・・)。

 

会社でのミスの責任

少し前になりますが,テレビコマーシャルで有名な引越社が,従業員が荷物を破損させた場合に,その損害額を従業員に負担させ,給料から天引きしていることがニュースで取り上げられました。

 
法律的には従業員のミスによる損害は誰が負担すべきかという点と,給料から天引きしてよいのか,の2点が問題になります。

 
最初の点ですが,ミスをしたのだから従業員の責任とも考えられます。
 

しかし,一度別の角度から考えてみましょう。
会社が利益を上げると,それは誰のおかげでしょうか。
 

例えば会社で1億円の利益を生む取引が成立したとして,契約成立の最後の場面で頑張った人の手柄でしょうか。
違いますよね。通常,多くの従業員の努力の結晶ですね。最後の場面で契約を締結した人が1億円を持って帰るのはおかしいですね。
そして,その利益は従業員や株主や経営者に分配されることになります。
 

それでは,従業員のミスで損害が出た場合はどうでしょうか。
一見,直接ミスを犯した人が悪いように見えますが,果たしてそうでしょうか。
 

例えば,引越荷物を傷つけたといっても,もしかしたら作業時間が少なくて急ぐように言われていたかも知れない。
事前に見積もった荷物の量と実際の荷物の量が違っていて,トラックへの積み込みに無理があったかも知れない。
あるいはスケジュールが過密で疲労が溜まっていたかも知れない。
 

そう考えると,たった1人の従業員の責任にしてしまっていいのでしょうか。
さっきの利益の場合と比べてみてどうでしょうか。
同じように多くの人の責任が重なり合っているのではないでしょうか。
 

このように考えると,よほどの事情でなければ一従業員にすべての責任を負わすのは不公平だと考えられます。
 

裁判所もこのような考え方を取っています。
裁判例では従業員個人の責任を認めなかった判決も多く,最高裁まで行った事案では,従業員の責任を4分の1だけ認めた判決(最高裁昭和51年7月8日判決)があります。
横領などの故意の場合を除くと従業員の責任を100%認めたものは耳にしたことがありません。
 

この引越社の事案では,もう1点,重要な問題があります。
従業員に賠償責任を負わせて給料から天引きしている点です。
こちらは労働基準法24条に違反すると思われます。
 

労働基準法24条は,「賃金全額払いの原則」を規定しています。給料は生活の基礎であるから確実に全額労働者に渡しなさいということです。
ですから,会社は社会保険料の控除や財形貯蓄など特別に認められたもの以外は給料から天引きしてはいけないのです。
最高裁も,給料と従業員に対する損害賠償請求権との相殺(天引き)を否定しています。
 

(ちなみに,給料の前借り金と相殺することは労働基準法17条で明確に禁止されています。)

大島小学校2分の1成人式

平成28年1月15日,猪名川町立大島小学校に「2分の1成人式」の講師として招待され,行ってきました。

 

大島小学校の4年生と楊津(ようしん)小学校の4年生の合同企画です。

子どもたちが将来の夢を描くための手助けとなるために様々な職業の人から仕事の話を聞くという内容です。

 

弁護士の仕事を説明することは難しかったのですが,イメージだけでもつかんでくれたかなと思います。

小学生に仕事で講演するのは初めてだったのですが,みんな元気がよく,反応がよく(ここ嬉しい!),楽しいひとときでした。

子どもたちが将来のことを考えるための一助になってくれれば幸いです。

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USJのチケット転売禁止

 

最近,USJが転売チケットを無効にする方針を打ち出した,というニュースがありました。

 

 

USJでは,特にアトラクションの待ち時間を短縮できる「エクスプレスパス」が買い占められて高額で売られていることが以前から問題となっていました。

USJはこのような買い占めや転売を排除することが目的であると説明しています。

 

 

そもそも,チケットの転売は違法なのでしょうか。

 

 

いわゆる「ダフ屋行為」は警察の取締の対象となっています。

ダフ屋行為が取締になる理由は,戦後の食糧難の時代に遡ります。

 

 

戦後の食糧難の時代,配給札を買い占めて高額で売る行為が行われていました。

このような行為が横行すると,金持ちはたくさん食べられるけど,貧乏な人は餓死してしまうことになります。

そこで,物価統制令でこのような行為を禁じていました。

 

 

その後,高度経済成長期になると,ダフ屋行為を禁止する理由が変わってきます。

例えば,人気のイベント会場などで,ダフ屋がチケット売り場のチケットを全部買い占めたらダフ屋は暴利をむさぼることができます。

また,ダフ屋にクレームを付ける人も多く,会場周辺が混乱したりしました。

 

 

このような暴利や混乱を防止するために,ダフ屋行為は各都道府県の迷惑防止条例によって規制されることになりました。

 

 

主に混乱の防止という理由による規制ですので,迷惑防止条例では,「公衆が出入りすることができる場所」でのチケットの転売などを禁止しています。

 

 

ですから,インターネットでの転売は迷惑防止条例違反には該当しないと言われています。

(コンビニで購入したチケットをネットオークションで販売した人が摘発されたケースがありますが,「コンビニ」は「公衆が出入りすることができる場所」といえるからでしょう。)

 

 

USJは,すべての転売行為を一律に禁止することにしたというのですから,元々法律に違反していない行為も含めて禁止したということになります。

なぜ,そのようなことができるかというと,それが契約内容となるからです。「契約条件を守れる人だけが契約してください(利用してください)」ということです。

 

 

また,USJでは,チケット転売の撲滅を目指すとともに,被害に遭った人(無効となるチケットを買わされた人)の支援もすると言っているようです。

具体的には,集団訴訟や刑事訴追の支援をしたいと述べています。

 

 

法律で禁止されていないのに刑事訴追ができるのでしょうか。

結論は「できます」

 

 

その理由はこういうことです。

USJが「転売チケットは無効とする」と宣言しました。

すると,チケットを転売する行為は「使えないチケットを売る」行為になります。

つまり,詐欺罪に該当し,警察が捜査することが可能となるのです。

 


未成年者へのタバコ販売

 

最近,未成年者(当時15歳)へのタバコを販売した店員に高松高裁が逆転無罪判決を下したというニュースがありました。

 

 

多くのコンビニでタッチパネルで「20歳以上」のボタンを押すことによって自己申告をさせています。

今回の事件も,未成年者がパネルを押して購入しています。

 

 

一審では,有罪判決でした(罰金10万円)。

 

 

未成年者へのタバコの販売は「未成年者喫煙禁止法」で禁止されています。

年齢確認は平成13年の改正によって義務づけられました。

 

 

一審判決と控訴審判決ではどのような違いがあるのでしょうか。

法律的には,「故意」が問題となります。

 

 

未成年者喫煙禁止法では,「未成年者」に「タバコ」を売る行為を禁止しています。

この犯罪が成立するためには,自分が売る相手が「未成年者であること」と自分が売るものが「タバコ」であることを知っている必要があります。

 

 

「タバコ」については問題ないでしょう。問題は「未成年者」であることを知っていたか,です。

 

 

一審判決は,「少年は頬にニキビがあるあどけない顔で,一見して未成年とわかる顔立ちだった」と言っています。

これに対し,控訴審は,「少年が1m67cmという身長や服装,そして,店員が少年を見た時間が短時間であったことなどから,店員が未成年者だとわかったと断定することはできないと言っています。

 

 

非常に難しい問題です。

判決文を読んでいないので,詳しいことはわかりませんが,大人びた未成年もいるし,「あどけない顔立ち」の大人もいますから,「あどけない顔立ち」だけで20歳以上だとわかるかというと難しいのではないでしょうか。

 

 

ところで,未成年者喫煙禁止法はタバコを吸った未成年者もタバコを買った未成年者も罰則がありません。

法律は未成年者を守ることが目的であるからと説明されています。

 

 

しかし,騙して買った方はお咎め無しで,騙されて売った方が処罰されるということに疑問の声も出ているようです。

理屈だけを言えば店員を騙してタバコを手に入れたということで詐欺罪(刑法246条)に該当するのでしょうけれど,やはり,未成年者喫煙禁止法の目的・趣旨からすれば,この場合に詐欺罪を適用することはないでしょうね。

 


宝塚北高等学校での講演

平成27年10月22日、弁護士会の仕事で兵庫県立宝塚北高等学校の「仕事を知ろう・社会を知ろう」の講師として話をしてきました。

宝塚北高校で講演をするのは2回目です。


対象は1年生で、もうすぐ文理選択する時期の生徒です。

いろんな職業の人に来てもらい(20業種)、話をしてもらって、進路選択の参考にするという趣旨の企画です。

生徒たちは10〜20名程度のグループに分かれて興味のある職業人の話を聞きます。


講演内容は学校側よりリクエストがあり、①現在の仕事を選んだ理由②仕事内容、その職業に必要な資質③仕事をする中での喜び、悩み、苦しみ④高校時代にしておくべきことの4点です。


自分なりに一生懸命話しましたが、生徒たちの反応が薄いので、十分に伝わったかはよく分かりません。

でも、みんな真っ直ぐ僕のほうを見てくれていましたから、しっかり聞いてくれたと思います。

少しでも進路選択の参考になれば幸いです。

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私立高校の入試について

 

先日,私立高校の入試で,学力試験の前に大半の合格者が内定しており,しかも,内定者より79点も高い点数を取ったのに不合格とされた受験生がいたというニュースがありました。

 

 

学校の対応にはかなり批判が多いようですが,法律的にみるとどうなのでしょうか。

 

 

私立高校に関連する法律と言えば,教育基本法,私立学校法,学校教育法などがあります。

 

 

入試に関しては,学校教育法施行規則59条1項で,「高等学校の入学は,・・・調査書その他必要な書類,選抜のための学力検査の成績等を資料として行う入学者の選抜に基づいて,校長が,これを許可する。」(一部略)と決められています。

 

 

「調査書」というのはいわゆる内申書です。

 

 

つまり,内申書や学力試験やその他を総合して決めることになっています。

 

 

総合して決めるわけなので,内申書や面接を重視して学力試験を軽視しても法律的には違法とは言えないでしょう。

 

 

特に,私立学校の場合,教育基本法8条で,「自主性を尊重」すべきことになっています。

 

 

ですから,公平性が重視される公立学校よりも柔軟な入試が許されると考えられます。

 

 

ただし,今回の報道のケースでは,学力試験の前に合格が内定しており,内定者は全員学力試験を受けて全員合格しているとのことです。

 

 

このような報道内容からしますと,学力試験の結果にかかわらず合格させると決めていたと受け取られても仕方ありません。

 

 

その意味では,学力試験と内申書と面接によって総合的に決めるかのような募集案内には問題があったと言えるでしょう。

 

 


インターアクト地区年次大会

平成27年8月23日〜24日の2日間、ロータリークラブの関係でインターアクト地区年次大会に参加してきました。



私の所属する宝塚ロータリークラブは、雲雀丘学園インターアクトクラブを支援しています。


インターアクトクラブとは、ロータリークラブにより提唱された、12歳から18歳までの青少年または高校生のための社会奉仕クラブです。


インターアクトクラブでは、毎年、地区ごとに(おおむね都道府県ごと)年次大会を開催し、クラブ間の交流を図るとともに、生徒たちのリーダーシップを高めるためのプログラムが実施されます。


今年度は「セーブネイチャー」というテーマで、特定外来生物について勉強したのち、環境保全実践活動を行いました。


私たちロータリークラブのメンバーも生徒たちと一緒に学習し、実践活動にも参加しました。


2日目は、残念ながらロータリークラブの例会日だったので、朝早くに出発したので、2日目のオリエンテーリングには参加できませんでした。


年次大会に参加するのは今回で2回目でしたが、前回同様、生徒たちの学ぼうとする積極的な姿勢に感動しました。


こういう活動に積極的に参加する生徒たちがこれからの日本を担っていってくれるのではないでしょうか。
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東京オリンピックのエンブレム

 

先日,東京オリンピックのエンブレムのデザインがベルギーの劇場のロゴに似ているということが話題になりました。

 

 

法律的には商標権と著作権が問題になります。

 

 

まず,商標権ですが,商標権というのは登録された商標に発生するものです。ですから,ベルギーのデザイン事務所がロゴを商標登録していなければ商標権侵害にはなりません。

 

 

仮に登録していた場合,商標権の侵害の有無は,他の商品やサービスと混同されるおそれがあるか否かで決まります。具体的には,見た目(外観),呼び名(称呼),イメージ(観念)のいずれか一つ以上が同一か酷似していて,同じ所から出ていると誤解されるかどうかで判断されます。

 

 

今回のエンブレムは,見た目は確かに似ていますが酷似しているとは言えないでしょう。また,呼び方が特にあるわけでもありません。しかも,一方は劇場で一方はオリンピックです。ベルギーの劇場がオリンピックを主催していると誤解する人はいないでしょう。

 

 

本件で問題となるのは著作権です。著作権の場合,何かに登録しなくても作っただけで権利が発生しています。

 

 

今回のケースは,著作権のうちの「翻案権」が問題となります(著作権法27条)。

 

 

「翻案」とは,例えば,小説を映画化する,映画をミュージカルにする,みたいに,もとの作品に修正を加えて新しい作品を作ることです。

 

 

この場合,小説を書いた人と映画化した人が同一だと誤解されることは普通ありません。しかし,通常,無断で小説を映画化すれば著作権侵害になります。

 

 

著作権の侵害にならないためには,著作権者の承諾を得るか,修正が「翻案」に該当しないことが必要です。

 

 

判例によると,「翻案」とは,他の作品に依拠していて本質的な特徴の同一性を維持しながら別の作品を作ることとされています(最判平13.6.28)。

 

 

「依拠」というのは,元の作品から影響を受けているということです。「本質的な特徴の同一性を維持」しているかどうかは,最終的に裁判所の判断となります。

 

 

もし,日本のデザイナーがベルギーの劇場のロゴにヒントを得てエンブレムを作ったのであれば,著作権侵害の可能性が出てくるでしょう。

 

 


親の不法行為責任

 

今回は,親の不法行為責任についてです。

 

 

少し前のことになりますが,子供が蹴ったサッカーボールを避けようとしてバイクを運転していた人が転倒して,その後死亡したという事件で親の責任を否定する最高裁判決が出ました。

 

 

当時,小学校6年生だった子供が放課後,フリーキックの練習をしていたところ,蹴ったサッカーボールが校庭から外の道路に転がったということです。

 

 

一審及び二審は親の監督責任を認めていました。

 

 

この最高裁判決の話をするためには,「不法行為責任とは何か」「親の監督責任とは何か」から話す必要があります。

 

 

不法行為責任とは,簡単にいうと,「悪いことをして誰かに損害を与えたら賠償責任を負う」ということです。

 

 

現在,不法行為責任に関しては,世界各国で,「過失責任主義」がとられています。これは,生じた結果に対して「故意」や「過失」がなければ責任を負わない,という原則です。「過失」とは簡単に言うと不注意のことです。

 

 

もともと,古代ローマの時代には「結果責任主義」といって,起こった結果については原因を作った人がすべて責任を負うとされていました。

 

 

これが一方で,哲学の分野では,「人間は意思によって行動する」とか「自我」の概念などが発展していき,「意思」に基づく行動でなければ責任を負わすことはできないという考え方が出てきました。

 

 

他方では,経済の分野で,「結果責任主義」では恐ろしくて大きな経済活動ができない,人並みの注意をしておけば責任を負わされない,とすることで活発に活動ができるようにする必要がある,という風に変わっていったわけです。

 

 

このようにして,現在では「過失責任主義」が原則であり,そのこととの関係で「自分の行動の結果,どういう責任が発生するか」を理解できないものに責任を負わすことはできない,という「責任能力」がなければ責任は負わない,との考え方が出てきました。

 

 

そして,現在の日本の法律の解釈として,未成年者の責任能力は,「行為の結果,どのような責任が発生するのかを理解できる能力」といわれています。

 

 

今回の事件では,ボールを蹴った子供は当時小学校6年生で「責任能力がない」とされました。

 

 

子供に責任能力がない場合,法律では原則として親が責任を負うことになっています(民法7141項)。

例外として,親が監督義務を怠らなかったときは責任を負わない,となっています。

今回は,この例外にあたるかが問題になりました。

 

 

そもそも親が責任を負うという考え方は,家長が家族の行動に責任を負う,という団体主義の考え方が今でも残っているからです。一方で,監督責任を怠らなければ責任を負わない,というのは「過失責任主義」の考え方です。

つまり,団体主義と個人主義の両方を調和させているのです。

 

 

今回は,親が監督義務を果たしていたのかが問題になりました。

法律の世界では,「例外」は簡単に認められません。そのため,これまではほとんどの事例で親の責任が認められてきました。

 

 

これに対して,今回は親の責任を否定したので大きく取り上げられました。

 

 

報道だけでは事実関係の詳細は分かりませんが,報道によると,判決では「日常的な校庭の使用方法で,通常は人に危害を与えるものではなかった」と述べられているようです。

 

 

「通常のしつけで防止できる事故ではなかった」と判断したということです。

 

少年法について

 

今回は,少年法についてです。

 


少年による殺人事件などが起きると,必ず少年法を見直すべきだという議論が起こります。

 


多くの場合,「少年法はけしからん。」という声を聞きます。

しかし,そういう人と話しをしてみると,実は少年法をよくご存じでない場合がほとんどです。

 


例えば,少年は少年院に入ることはあっても刑務所には入らないと思っている方がおられます。また,少年は死刑にならないと思っている方もおられます。しかし,これらは誤解です。

 


まず,少年法の沿革ですが,日本の少年法はアメリカ法を参考にして作られました。

 


アメリカでは,少年の犯罪は貧困や人種差別が背景にあるという理解が広まり,成人と異なる体系を作りました。

貧困などの環境のため犯罪に走った少年に対して,大人と同じように劣悪な環境の刑務所に送るのではなく,教育を与えて矯正させようとしたのです。

 


日本の現行の少年法では,犯罪を犯した少年については,原則として家庭裁判所で審理することとなっています。これはアメリカの少年裁判所を参考にしたものです。

 


ただ単に罪の重さを審理するだけではなく,少年が育ってきた環境などを専門家が調査をして,その少年にふさわしい教育とは何かを考えるのです。

 


家庭裁判所で審理された結果,保護観察や少年院送致などの処分になることがあります。これらは比較的知られています。

 


しかし,すべてがそうではありません。通常の刑事手続によって裁判が行われて刑務所に行くことも死刑になることもあります。

 


少年法では,犯行時に18歳未満であれば死刑を科すことができないとされています(511項)。逆に言うと,犯罪時に18歳や19歳であれば死刑を科すことができるのです。

 


実際に,古い話では「長山則夫事件」,最近では「光市母子殺害事件」などで犯行時少年だった人に死刑判決が確定しています。

 


また,14歳以上であれば無期懲役を科することもできます(512項)。

 


大きな事件が起きると,「少年法を改正するべきだ。厳罰化するべきだ。」という声が出ますが,現行の少年法でも,死刑や無期懲役に処することはできるのです。

 


そうはいっても,「やはり軽すぎる」という方もおられるでしょう。

 


この問題は難しすぎて,私がコメントできるようなものではありませんが,参考までにアメリカの少年法厳罰化の話を紹介しておきます。

 


1970年代後半から,アメリカの各州で少年法の厳罰化が進められましたが,1980年代,90年代と少年犯罪は人口比で大幅に増大しています。

 


この結果を見ると,厳罰化だけでは解決できない難しい問題であることが分かるのではないでしょうか。

 


風力発電視察

平成27年6月12日〜13日,高知県大月町にある大月ウインドファーム(風力発電施設)の視察に行ってきました。


近畿弁護士会連合会公害環境委員会の夏期研修会の準備のための視察です。


高知空港から車で3時間,大月ウインドファームに着きました。

大月ウインドファームは株式会社大月ウインドパワーが所有する風力発電施設です。


1機1000KWの風力発電機を山の尾根伝いに12機並べています。

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証人尋問その3

 

今回は,証人尋問その3です。

 

証人尋問では,禁止されている質問の仕方があります。

 

一つは誘導尋問です。誘導尋問というのは,「あなたが見たとき信号は青だったのですね」「はい」「その車は減速することなく交差点に進入したのですね」「はい」「もう一方の車は,衝突を避けようとしてハンドルを切ったのですね」「はい」というように,証人に答えさせたい内容を先に示す尋問手法です。

 

このような尋問を行ってしまうと,「証人の記憶をチェックする」という証人尋問の役割を果たすことができません。証人は質問者の誘導に乗っかっているだけだからです。

 

そのため,質問としては,「あなたはその時信号を見ましたか」「はい」「信号の色は覚えておりますか」「はい。青色でした」「その車はどのように走行していましたか」「特に減速することなく交差点に進入しました」「もう一方の車はどのように走行していましたか」「衝突を避けようとしてハンドルを切りました」というふうに聞かなければなりません。

 

ただし,誘導尋問が許される場合もあります。例えば,反対尋問の場合です。

 

反対尋問は,前回の「証人尋問その2」でお話ししたように,証言に対してさまざまな角度から揺さぶりをかけて信用性をチェックする機能を有しています。

 

そのため,反対尋問では,「あなたは車の動きをよくご覧になっていたとのことですが,そうだとすると,信号の色まで確認している余裕はなかったのではないですか」とか,「『ハンドルを切った』とおっしゃいましたが,車の動きを見てそう判断しただけであって,実際に運転手がハンドルを切る動作を見たわけではありませんね」などの誘導尋問が許されます。

 

このように証人尋問にはいろいろなルールが存在するのです。

 


証人尋問その2

 

今回は,証人尋問その2です。

証人尋問において,証人は基本的に書類などを見て証言することはできません。

証人の記憶をチェックすることが最大の目的だからです。

 

 

このように言うと,「言うべきことを丸暗記すればよいのか」と思われがちですが,そうではありません。

 

 

仮に完璧に丸暗記をしたとしても,尋問には「反対尋問」があります。

反対尋問では,さまざまな角度から揺さぶりをかけます。

すべての質問を予想することは不可能なので,予想外の質問が出たときにしかるべき回答が出てこなければ,さっきまでの「完璧な」回答がかえって不自然に感じられます。

 

 

このような「不自然さ」を裁判官は見逃しません。一挙に形勢逆転ということにもなりかねません。

このように,反対尋問のチェックを受けることにより,虚偽の証言や誇張された証言の信用性を減殺することができる仕組みになっているのです。

中山寺星祭節分会

平成27年2月3日、中山寺の星祭節分会・豆まき式に福男として参加してきました。


中山寺の星祭節分式は伝統ある行事で、中山寺のホームページによると、


「古くから伝わる追儺式(ついなしき−1年の厄を払いその年の幸せを願う儀式)を宝塚歌劇団生扮する観音様に、貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)3匹の鬼が諭(さと)されて、福・禄・寿の善神に変わるさまを現代風にアレンジした音楽法要を執行します。
豆まき式は、宝塚歌劇団生を福娘・関西の各界でご活躍されている方々を福男とし、行います。例年約 12,000人の参詣者があります。」


とされています。


初めての参加でしたので少し緊張しましたが、厳粛な儀式に感動したとともに、間近で歌劇団生を見ることもできて良かったです。


この行事に参加すると穢れが落ちると言われています。


昨年の穢れが落ちて無病息災で一年が過ごせますように。

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証人尋問について


「証人尋問」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?

よくテレビなどでやっていますよね。証人が法廷の中の証言台の前に立って(実際は座ります),横から弁護士が質問をして,前から裁判官が睨んでいるあれです。

 

 

証人尋問には幾つかのルールがあります。基本的なルールは「交互尋問」といって,味方の弁護士がひととおり質問をしてから,次に相手側の弁護士が質問をします。最後に裁判官が質問します。

証人は質問に答えるのが任務であり,質問者に対して逆質問をしたり,聞かれてもいないのに裁判官に対して自分の意見を訴えかけてはいけません。

 

 

この基本的なルールを理解していない方が多く(仕方のないことですが),「裁判官の前で言いたいことを言わせて欲しい。」という方が時々おられます。

 

 

しかし,証人尋問は「言いたいことを言う」場ではなく,「聞きたいことを聞く」場なのです。

こう言ってしまうと,何か裁判というのは冷たいもののように感じるかもしれません。

 

 

しかし,「聞きたいことを聞く」ことは,裁判官が真実を発見するためにとても重要な手続なのです。

 

 

裁判は法律のルールに則って「事実」を認定します。そのためには,ルールに適応した形で一つずつ小さい「事実」を引き出していく必要があります。裁判官は引き出した「事実」を積み重ねて,目標とする「事実」を認定します。

弁護士も裁判官もそのために必要な質問をするのです。

 

 

ですから,もし裁判の証人になった場合は,面倒くさがらずに,一つ一つの質問に丁寧に答えてあげて下さい。

製造物責任について

製造物責任というのをご存じでしょうか?

製造物責任は「製造物責任法」という法律で規定されているものですが,この法律は通常の法律と異なる特徴的な部分が幾つかあります。


 

従来の法体系では,購入した商品に欠陥があって,そのために怪我をしたような場合,民法の不法行為責任(民法709条)や契約責任(債務不履行責任,民法415条)を追及する必要がありました。

 

 

しかし,これらはいずれも消費者が製品の欠陥により生じた被害を追及するには不十分でした。

 

 

例えば,不法行為責任の場合,メーカーに「過失」があったことを立証しなければなりません。「過失」というのは,簡単にいうと,メーカーとして通常要求される注意を怠ったことです。

 

 

ですから,仮に商品に問題があったとしても,メーカーとして通常の注意を払っていたが予測できなかったような場合には責任を追及できないということになります。

 

 

また,契約責任の場合,消費者は契約した相手にしか責任を追及できません。つまり消費者は販売業者に責任を追及することになります。

 

 

契約責任の場合も先ほど述べた「過失」と同様のもの(帰責事由)が必要となるのですが,販売業者の過失を証明するのはメーカー以上に困難です。

なぜなら,販売業者は自分で設計したり製造しているわけではないので,製品の不具合などを見抜くことは困難だからです。

 

 

このように従来の法体系では消費者被害の手当として不十分な点がありました。

そこで,制定されたのが「製造物責任法」です。

 

 

この法律では,製品に「欠陥」があった場合,その「欠陥」によって怪我をした場合などにメーカーに対して損害賠償を求めることができることになっています。

 

 

つまり,製造物責任の特徴の一つは,「欠陥」の存在を証明すれば「過失」の存在を証明する必要がないことです。

 

 

「欠陥」と「過失」はどう違うのかというと,少し分かりにくいのですが,欠陥とは「製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」とされています(製造物責任法22)

 

 

先ほど述べたように,「過失」とは通常の注意を怠ったことですので,それを立証するためには,製造工程全体を確認して,どこで注意を怠ったのか(どの過程に間違いがあったのか)を突き止めなければなりません。

 

 

これに対して,「欠陥」の場合は,商品そのものを専門家などに調査してもらうことで,通常必要な強度が不足していることなどが判明することがあり,「過失」を立証するより容易です。

 

 

また,製造物責任法によると,製造業者だけではなく,輸入業者に対しても責任を追及することができます。

 

 

輸入品の場合に海外のメーカーに責任追及をしなければならないとなると,消費者の負担が大きいため,輸入業者に対しても責任追及ができることにしたのです。

この点も製造物責任法の特徴の一つです。

 

キッズコーナー

法律相談に行きたいと思っても,「もし連れて行っても迷惑をかけるのではないか」,「ゆっくり相談ができないのではないか」,「子供を誰かに預けなければいけないな」と悩まれていませんか?

 

 

しかし,当事務所ではキッズコーナーを用意しておりますので,そのような心配はいりません。 

 

 

床にマットを敷いた小さいスペースですが,DVD,絵本,お絵かき,ゲーム機,積み木,ブロックなどを揃えておりますので,ご相談の間,退屈せずに時間を過ごせます。

 

 

お子様連れでもどうぞお気軽にご相談にお越しください。

 

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自力救済について

賃貸借契約(借家)が締結されて入居した人(賃借人)が賃料を払わない場合,大家さんは玄関の鍵を取り替えたり,中の家具や荷物を処分してもいいでしょうか?

 

 

契約書には,「賃料不払いの場合は,大家は鍵を取り替えることができる。中の家具や荷物を自由に処分できる」と書いてあるとします。

 

 

契約書に書いてある以上,そのようにされても文句は言えないようにも思います。

 

 

このような行為を「自力救済」といいます。自分の力で自分の権利を実現するという意味ですが,この「自力救済」は許されていないのです。

 

 

「自分の権利を自分で実現して何が悪いんだ」と思うかも知れません。

しかし,日本は法治国家です。自分の権利を実現するためには法律の手続に則って行う必要があるのです。

 

 

もう少し言いますと,家を借りて住んでいる人は,その家で平穏に生活する権利を持っています。

 

 

鍵を取り替えることや家具などを処分することは,その家に住む人が平穏に生活する権利を侵害する行為になります。

 

 

自分の権利を実現するためであっても,私人が他人の権利を侵害する手段を用いてはならないのです。他人の権利を合法的に侵害できるのは国家権力だけである,というのが法治国家なのです。

 

離婚による財産分与について

夫婦が離婚する場合に,財産分与が行われることがあります。

財産分与とは,一言でいうと,夫婦が協力して築いた財産を離婚の際に分けましょうという制度です(実際には,清算的要素,扶養的要素,慰謝料的要素があるとされます)。一般的には,2分の1ずつ分ける例が多いです。

 

 

重要なことは,夫婦が婚姻中に協力して築いた財産でなければならないということです。

つまり,結婚前から持っている財産とか結婚後に取得した財産でも親からの相続財産などは財産分与の対象にはなりません。

 

 

例えば,会社員の夫と専業主婦の夫婦がいたとして,給料をこつこつ貯金してきてそれなりの額の貯金があるとするとどうでしょうか?

お金を稼いだのは夫だから分ける必要はないでしょうか?

そんなことはありません。夫が仕事をしてお金を稼ぐことができたのは専業主婦である妻の支えがあったからです。ですからこれは夫婦で築いた財産と考え,財産分与の対象となります。

 

 

さて,それでは,会社員の退職金はどうでしょうか?

退職金というのは長年会社に勤務したことに対する対価ですので,やはり,妻の支えがあってこそ,もらえるものですよね。ですから,一応財産分与の対象となると考えていいです。

 

 

ただし,問題なのは,退職金をもらうのがいつかという点です。

例えば,離婚直前に夫が定年退職をして退職金を受領していたとすれば,財産分与の対象となります。まさに目の前にお金がある状態ですから,それを分けることになります。

 

 

もっとも,注意して欲しいのは,必ずしも退職金の全額が財産分与の対象になるのではなく,「夫婦で協力して築いた財産」が対象なので,夫が会社に務めていた期間のうち,婚姻期間の割合に限られるという点です。

 

 

例えば,勤続40年で退職した人がいたとして,結婚したのが勤続10年経過後であれば,婚姻中の勤続期間は30年ですから,退職金のうち40分の30だけが財産分与の対象になります(その2分の1を妻がもらう)。

 

 

では,例えば夫が40代で,定年はずいぶん先というケースはどうでしょうか。

そんな先の話になると実際にもらえるかどうか分かりません。転職する可能性もあるし,会社が倒産することもありますので。

 

 

ですから,裁判実務では,そういう場合には,退職金を財産分与の対象とはしない扱いが多いです。

逆に,近い将来にほぼ確実に退職金を得られるという場合は,財産分与の対象とすることが多いです。

 

交通事故の営業用車両の損害

今回は,交通事故の物損のうち,営業用車両の損害について取り上げます。

 

 

交通事故で営業用車両が損傷した場合,どのような損害が考えられるでしょうか。分かりやすくするために,過失割合は100対0とします。

 

 

まずは,修理費ですね。

過失割合が100対0なので,修理費は全額相手に請求できると思われるかもしれませんが,そうではありません。

 

 

修理費が車両の時価を上回る場合は,「経済的全損」と言って,同等の自動車を買い換えるための費用に限られます。

 

 

例えば,新車で200万円で購入した自動車が損傷したとします。

修理費の見積を自動車修理工場に頼むと100万円だと言われました。

しかし,その車は年式や走行距離などからして,中古車市場での売買価格が50万円だとします。

すると,請求できる金額は50万円程度ということになります。

 

 

被害者にしてみれば,「自分は全く悪くないのだから,相手がすべて元通りにする責任があるだろう。元通りにするのに100万円かかるんだったら,当然相手が100万円出すべきだ。」と考えます。

 

 

しかし,法律の世界では「損害の公平な分担」という考え方があります。

 

 

これは,誤って相手に損害を与えた場合に損害を賠償する責任があるのは当然だけれども,必要以上に加害者に負担をかけるべきではない,という考え方です。

 

 

具体的には,先ほどの事例では,同程度の中古車を購入できれば,被害者はこれまでと同じような生活ができるのであるから,それで許してあげなさい,ということです。

 

 

次に,評価損(いわゆる格落ち)というものがあります。

修理が完了したとしても事故を起こした車ということで,将来,中古車屋に売るときに評価が下がってしまうという損害です。

 

 

これについては,裁判例では肯定例と否定例があります。裁判例が別れていること分かるように難しい問題です。

 

 

認められるかどうかの基準については,通常,損傷の程度,修理内容,修理額,初年度からの経過期間,走行距離,車種などを総合考慮して決められます。

 

 

あと,代車損害とか休車損害(営業用車両の場合)があります。

今回の例では営業用車両なので,休車損害についてお話しします。

 

 

休車損害というのは,営業用の車両が損傷したことによって,営業上の損失が発生することです。

 

 

算定方法は,その車が1日当たりに得る収入から変動経費を控除して,修理又は買い換えに必要な期間を乗じて算出します。

 

 

具体的には,例えば,その車を使うことで1日10万円の売上があるとします。

しかし,その車が使えなければ,その車の燃料代はかかりません。高速代もかかりませんよね。

 

 

つまり,10万円を売り上げるためには,燃料代や高速代がかかっています。燃料代と高速代の合計が平均1日3万円だとすると,10万円を売り上げても利益は7万円です。

事故が起きてその車が動かないとなると,3万円の出費もないわけですから,10万円をもらうともらいすぎということになります。

ですから,この3万円を経費として控除します(これを変動経費といいます)。

 

 

変動経費として何が算入されるかについては難しい問題ですので,ここでは省略します。

 

 

その他,注意する点としては,事故をした車を修理に出している間,他の車(遊休車両)で代わりが務まれば(売上が下がらなければ),休車損害は請求できません。

 

賃貸マンションの所有者の変更

例えば,賃貸マンションに住んでいて,家賃も遅れずに払っていたけど,建物の所有者が変わったらどうなるでしょうか。

 

 

こんな例があります。元々の所有者から「このマンションは〇×不動産に売却しましたので,今後は〇×不動産の指示に従って下さい。」という手紙が届いて,しばらくして,その〇×不動産から,「このマンションは取り壊すことにしましたので,3ヶ月後以内に退去して下さい。」という手紙が届きます。

 

 

次のような疑問が浮かびます。

 

 

自分が契約したのは前の所有者だから,新しい所有者と契約を交わさない限り住み続けることはできないのかな?

そういえば,最初に入居するときに敷金を60万円払ったよな。あれは戻ってくるのだろうか?

 

 

このような場合,法律を知らないと,言われるままになってしまう人が多いのです。

 

 

法律ではどうなっているかというと,まず,マンションの所有者が変わっても,家賃を払い続ければ,住み続けることができます。

 

 

理由としては,本来,契約社会の原則としては,新しい所有者との契約がない限り居住する権利はないことになるのですが,それでは,住むところを失う人がたくさん出てしまうということで,特別に法律で保護されているのです。この法律は借地借家法といいます。(借地借家法31条1項)

 

 

次に,敷金ですが,結論としては,契約が終了したときに,新しい所有者に返還を求めることができます。

 

 

考え方としては,賃借人の立場からすれば,元の所有者がいなくなって連絡が付かなくなれば,敷金の返還を求めようにも求められなくてかわいそうですよね。

一方,新しい所有者は元の所有者からマンションを買ったのですから,当然,売買代金について交渉をして金額を決定するわけです。

そのときに,幾らの敷金返還義務があるかということを織り込んだ上で,金額を決めることができますから,不利益にはならないわけです。

 

 

この点も,やはり賃借人の保護のためなんですが,これは法律ではなく,裁判所の裁判例(判例)で確立しています。

 

なぜ冤罪は生まれるのか

「疑わしき波被告人の利益に」とか「疑わしきは罰せず」とかいう言葉を聞いたことがあるでしょうか。

疑わしいだけでは有罪にできないという刑事裁判の大原則です。

この原則をしっかり守っていれば冤罪は生まれないようにも思います。

しかし,これまでにも数々の冤罪が生まれました。

 

 

冤罪を生んでしまう背景には幾つかあると言われています。

 

 

一つは,重大犯罪,特に残忍な犯罪については,「早く犯人を捕まえて欲しい」という国民感情があります。犯人とされる人物が逮捕されると,「こんな極悪非道なやつは死刑にして欲しい」という国民感情が生まれます。

 

 

一方で,捜査機関側には,「警察や検察の威信にかけても犯人を捕まえなければならない。そして,絶対に有罪にしなければならない。」というムードが生まれます。

犯人がなかなか見つからないと捜査機関に焦りが生じます。そして,ごく稀ではありますが,無理な見込み捜査(ある人を犯人と決めつけての捜査)が行われます。

 

 

もう一つ,取り調べにおける虚偽の自白の問題があります。

 

 

中世においては,日本でもヨーロッパでも拷問がありました。証拠がない場合に自白をさせて処罰するということはよくありました。

曲がりなりにも「自白」をしたから処罰しても正当化されると考えがあったのでしょう。

 

 

現代では世界的に拷問は禁止されています。友人や知人からはこう言われます。「今は江戸時代じゃないんだから,昔のような拷問はないだろう。」と。

しかし,現代でも,虚偽の自白は存在します。

 

 

それでは,どのような要因が虚偽の自白を生むのでしょうか。

 

 

虚偽の自白を生む要因としては幾つかありますが,被疑者に十分な法律知識がないことが一つの要因です。

被疑者が自白するのは,通常,起訴されるまでの段階です。

この段階では,警察による取調室という密室による取り調べが行われます。

 

 

法律知識がなければいつまで拘束されるのかも見当がつきません。「一生出られないのではないか」という不安・恐怖感に襲われます。

 

 

外に出ることもできず,面会もできない状況での長時間・長期間の取り調べは大変な苦痛です。これは体験したものにしか分からないと言われます。

取調官から,何度も「お前がやったんだ」と言われると,精神状態が不安定になり,本当にそんな気がしてくる場合もあるそうです。

 

 

そして,自白を強要された被疑者はこう考えます。

 

 

「こんな密室の取り調べで自白したとしても,後になって,裁判の時に傍聴人がいる公開の法廷で裁判官に対して『本当は自分はやっていない。取り調べの時に自白したのは苦しみから逃れるためだったんです。』と説明すれば信じてもらえるのではないか。自分の有罪・無罪を決めるのは公平な裁判官だから,裁判官が分かってくれればそれでいいんだ。」

 

 

このように考えて,厳しい取り調べから逃れたい一心で,自白調書にサインしてしまいます(自白調書というのは自分で書くのではなく,捜査機関が書いたものにサインをするのです)。

 

 

ところが,裁判が始まり,「あの自白は嘘だったんです。」と言っても簡単には覆せないのです。

なぜなら,法律で,自分に不利なことを認めた調書は原則として有罪の証拠として利用できることが決められているからです(刑事訴訟法322条1項)。

 

 

そのため,「裁判官に本当のことを言えば分かってもらえるだろう」という被疑者の期待は裏切られることになります。

 

 

このように,いろいろな要素があって,自白の強要,虚偽の自白が生まれてしまいます。

本当はもっとたくさん書くべきことはありますが,長くなってしまうので(十分長くなりましたが)この辺で終わります。

 

フィッシング詐欺について

フィッシング詐欺とは,実在するカード会社や銀行等からのメールを装って,偽のホームページへアクセスするように仕向けて,その偽のホームページで,口座番号,クレジットカード番号,パスワードなどの個人情報を入力させて,その情報を基にして金品をだまし取る行為です。

 

 

例えば,普段インターネットバンキングを利用している銀行の名前で,「セキュリティの向上のためにパスワードの変更が必要です。」などといった内容のメールを送りつけます。メールには,「下記URLにアクセスして手続を済ませて下さい。」などと書いてあり,URLアドレスが記入されています。

 

 

そこをクリックすると,いつも利用している銀行の見慣れたホームページの画面が現れます。

画面の案内に従って,パスワードなどを入力します。

それは,実は,偽のホームページで,パスワードなどの個人情報を盗むという手口です。

 

 

フィッシング詐欺の特徴は,実在する銀行やカード会社を名乗ることです。しかも,誘導する偽のホームページは,本物そっくりに作っています。

 

 

対策としては,まず,金融機関(銀行,カード会社,保険会社等)やショッピングサイトがメールで個人情報を問い合わせることはありません。

もし,メールで個人情報を問い合わせてきたらフィッシング詐欺だと思って下さい。

 

 

次に,よく利用している銀行やオンラインショップは,「ブックマーク」とか「お気に入り」に登録しておき,そこからアクセスするようにして下さい。メールの本文中からはアクセスしないで下さい。

 

 

そして,インターネットのサイトが本物かどうかを確認して下さい。通常,正規のサイトの場合,個人情報を入力させるような画面では,アドレスバーに南京錠のマークが出ています。

 

 

以上の点が基本的な注意点ですが,ハッキング技術はどんどん高度になっていきますので,「何かおかしいな」と感じたら,銀行などに電話をかけて確認するなどの用心も必要でしょう。

また,最近では,フィッシングの手口は減りつつ有り,パソコンにウイルスを忍ばせることによって,ユーザーが本物のサイトにアクセスしたときにパスワードを盗むなどの極めて巧妙な手口が流行りだしていますので,十分な注意が必要です。

 

 

万が一,被害に遭ったときは,ただちに,銀行やクレジットカード会社へ連絡して下さい。警察にも届けて下さい。

 

 

遺留分について

遺留分とは,被相続人が有していた相続財産について,その一定割合の承継を一定の法定相続人に保障する制度です。

 

 

具体的に見ていきましょう。

例えば,遺言で二人の子供のうち,「長男だけに全財産をあげる」と書いた場合,他の子供の遺留分を侵害することになります。

「遺留分を侵害する」とはどういうことでしょうか。

 

 

まず,遺留分の割合というものが民法で決められています。

つまり,遺言によっても侵害できない相続分の割合です。

子供が二人の場合,配偶者がいないとすると,一人につき遺産の4分の1が遺留分割合となります。

遺産のうち4分の1は最低限与えてあげようというのが法律の考え方です。

 

 

そうすると,先の例で,遺言で「100%長男に与える」と書いてあっても,4分の1は次男に権利があります。

 

 

問題は,この場合の処理の方法です。

次男は黙っていては4分の1を取得できません。

「遺留分減殺請求」というのを行わなければなりません。権利を行使しなければ4分の1を取得できないのです。

 

 

なぜ,こういう制度になっているかというと,次男が,「オヤジの遺志だから異議は唱えたくない」と考えて遺言を尊重する場合もあるので,そういう場合まで,強制的に4分の1を与えなくてもいいだろう,という考え方が背景にあります。

 

 

ですから,「4分の1欲しい」という場合は,自分で行動を起こす必要があります。

具体的には,口頭または書面で(通常は書面がいいでしょう),長男に遺留分減殺請求の意思表示をします。

これだけで権利関係としては,4分の1を手に入れたことになります。

 

 

「なんだ簡単じゃないか」と思われるかもしれませんが,実はこれだけでは終わりません。

この時点では「4分の1」という「割合」を手に入れただけですので,実際に遺産をどのように分けるかについては,相続人間で協議をしたり,場合によっては調停や訴訟を行う必要があります。

 

 

このように,遺留分を侵害する形の遺言を作成してしまうと,後で,協議等の必要が生じますので,残された家族の間で紛争が起きる可能性があります。

遺言を作成する場合は遺留分に注意して,できれば,遺留分を侵害しない遺言を作成することが望ましいと言えます。

 

特別受益について

遺産相続で「特別受益」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

 

「特別受益」というのは,相続人間の公平のために考えられた制度です。

 

 

例えば,父親が亡くなり,子供二人が残されたとします。

父親の遺産総額が1億円あるとします。

遺言はないとします。

 

 

この場合,単純に民法の法定相続の規定に従えば,子供ひとりにつき5000万円です。

 

 

ところが,例えば,長男が,父親の生前に,結婚を機に新居を建てて,そのときに父親から5000万円の資金を出してもらってたとします。

 

 

すると,次男としては,不公平な感じがしますよね。父親が亡くなる前に自分も結婚していたら,同じようにもらえたかもしれないですね。

 

 

このような場合,不公平をなくすために,長男がもらった5000万円を特別受益として,遺産の分け方を修正します。

具体的には,5000万円を遺産の「先もらい」と考えます。

 

 

もし,長男が5000万円をもらっていなければ,父親の遺産は1億5000万円残ったはずです。

この残ったはずの1億5000万円を相続財産とみなして計算します(「みなし相続財産」といいます)。

 

 

すると,遺産総額が1億5000万円ですから,子供一人の取り分は7500万円です。

7500万円の取り分のうち,長男は5000万円を「先もらい」していたので,残りの2500万円しか受け取れません。

そして,次男が7500万円を受け取ることになります。

 

 

これが,特別受益の基本的な考え方です。

 

 

それでは,長男は父親にかわいがられていて,よく小遣いをもらっていたという場合はどうでしょうか?

 

 

通常,小遣いは「特別」な贈与とはいえないので,一般的には,「特別受益」にはあたりません。

 

 

何が特別受益にあたるかについては,書き出すと長くなりますので省略しますが,一般的に「特別受益」にあたるのは,結婚の時の持参金や,私立の医科大学のような高額な教育資金,住宅取得のための費用,事業の開業資金などです(結納金や挙式費用は一般には特別受益にはあたらないとされています)。

 

忘れないde東北

平成26年4月5日土曜日,大林寺において,「宝塚からの贈りもの」vol.3 「忘れないde東北」が開催されました。

 

 

私は,宝塚ロータリークラブの青少年奉仕委員会として手伝いに参加しました。

 

 

「宝塚からの贈りもの」は,宝塚でチャリティを行い,その収益を被災地でのコンサート費用にあてるボランティア事業です。

宝塚ふぁみりぃ劇場さんが中心となって各種福祉団体も協力してくれています。

 

 

今回は大林寺の境内をお借りして,屋内コンサート,野外ステージ,気仙沼の屋台村,東北の物産販売が行われました。

 

 

屋内コンサートでは,雲雀丘学園ギターマンドリンクラブの演奏や気仙沼出身の女優さん吉田葵さんと左手のピアニスト智内威雄さんによるピアノ伴奏つき朗読などが実施されました。

個人的には,雲雀丘学園のギターマンドリンクラブの素晴らしい音色にとても感動しました。

 

 

野外ステージでは,末成小学校の音楽隊,末成ジュニアウインズによる演奏や宝塚の和太鼓集団,熱光(ひかり)による和太鼓の演奏,スマイルパフォーマーQちゃんによるパフォーマンスが行われました。

Qちゃんのパフォーマンスは初めて見ましたが,なかなかユーモラスで楽しかったです。

 

 

屋台村では,気仙沼さんまライスバーガー,気仙沼ふかひれスープ,東北の地酒などが販売されました。その中で,雲雀丘学園インターアクトクラブはおでんの販売を頑張ってくれました。

 

 

雲雀丘学園インターアクトクラブは,その他にも,宝塚駅でのシャトルバス乗り場への案内,大林寺でのバス降り場から会場までの案内と,フル回転で手伝ってくれました。

 

 

心配されていた雨もほとんど降らず,たくさんの人が来てくれて大成功でした。

これからも非力ではありますが被災地の応援を続けて行きたいと思います。

 

 

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寄与分について

今回は「寄与分」について書いてみます。

 

 

遺産分割において「寄与分」というものが問題となることがあります。

今回はこの「寄与分」について書きたいと思いますが,まずは,基本的な法定相続分を確認しましょう。

 

 

例えば,父親が亡くなり,兄弟3人が遺産の分け方についてもめているとします。既に母親は父親より先に亡くなっているとします。

この場合,法定相続分は,兄弟3人で3分の1ずつです。

法定相続分というのは,民法が定めた相続の割合です(民法900条)。

 

 

ところで,長男は長年,両親と同居して,お嫁さんとともに両親の面倒を見てきました。

この場合でも,長男は遺産の3分の1しかもらえないでしょうか。

長年,世話をしてきたのだから多めにもらっても良さそうですね。

 

 

ここで,「寄与分」という問題が出て来ます。「寄与」とは「貢献する」とかいう意味です。

先ほどの例では,長男はとても貢献したように思います。

 

 

しかし,同居して長年世話をしても,寄与分が認められるとは限りません。

 

 

民法904条の2に寄与分の規定があるのですが,そこには,「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者」と規定されています。

 

 

つまり,その相続人の行為によって財産が維持されたり増加したことが必要で,しかも,その行為が「特別の寄与」である必要があります。

 

 

ですから,単に,身の回りの世話をした,とか,精神的に支えになってあげた,というだけでは不十分です。

 

 

では,どんな場合に認められるかというと,例えば,父親の生活費を全額長男が負担していたというのであれば,その分,父親の財産が減らずに済んだといえるので認められるでしょう。

 

 

どうして,身の回りの世話をしただけでは認められないのかというと,親族としての愛情から行った行為をお金に換えるべきではないという考え方があるのだと思います。

逆に言いますと,お金目当てに親の世話をするべきではないということですね。

 

因果関係について

今回は「因果関係」について書いてみます。

 

 

因果関係というのは、日常用語としてもしばしば使われます。「因果応報」とか、悪い行いをしていると「バチが当たる」などといいますが、こういうのは非科学的で法律的な考えにはなじみません。

 

 

法律的な用語としての因果関係は、まず、「AなければBなし」という条件関係(自然的因果関係ともいいます)が必要です。これは現代の科学で説明できる現象として、「Aという行為がなかったならばBという結果は生じなかった」という関係です。

 

 

したがって、「丑の刻参りをしたら死亡した」というのは、現代科学で証明できないため、因果関係はありません。

 

 

「脇見運転をしたら前の車に追突して前の車に乗車している人に怪我を負わせた」というのは、条件関係があります。

 

 

では、この例で、「前の車に乗っていた人が、これから大事な商談に向かう途中であったが、事故のため商談に遅れて数億円の売上を逃した」という場合、「脇見運転」と「数億円の損害」との間には、因果関係はあるでしょうか。

 

 

この場合、条件関係(自然的因果関係)はあります。しかし、脇見運転をした人にこの数億円の損害を賠償させることは妥当でしょうか?

 

 

運転していた人は、まさかそんな損害が生じるなどとは通常予想できません。これを負担させるのは余りにも酷だと思われます。

 

 

そこで、通常予想できないことまで賠償させるのは酷であるとの考え方から、「相当因果関係」という考え方が出てきました。

「相当因果関係」とは、条件関係(自然的因果関係)が認められるもののうち、損害を負担させる範囲を常識的な範囲に限定するための理論です。

 

 

このように、法律的な意味での「因果関係」というのは、科学的な因果関係に常識的な修正を施したものなのです。

 

未成年者による不法行為

今回は、未成年者による不法行為という内容で書いてみます。

 

 

例えば、自分の子供が自転車に乗っていて、歩道をスピードを出し過ぎて走ったために他人に追突して怪我を負わせたとします。

 

 

子供はどういう責任を負うでしょうか?

 

 

この場合、追突したことが故意(わざと)でもない限り刑事責任は考えなくても良いでしょう。問題は民事責任(不法行為責任)です。

民事責任とは、金銭による損害賠償責任のことです。具体的には、治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益などが考えられます。

 

 

子供の責任の有無については、その子供の年齢が重要になってきます。

 

 

例えば子供が5歳だとしましょう。

この場合、子供には「責任能力」がないということになり、損害賠償責任を負いません(民法712条)。

「責任能力」とは、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」のことです。平たくいうと、自分のやったことが悪いことで、その結果、何らかの責任が生じることが理解できる能力です。

 

 

では、子供が15歳であればどうでしょう。

通常、「責任能力」があるとされるでしょう。この場合、子供が損害賠償責任を負います。

 

 

では、その境目はどこなんでしょうか?

これは一概に何歳と決まっていません。人にもよるし、その行為の種類にもよります。

もっとも、裁判例では12歳前後で責任能力を認めているものが多いようです。

 

 

ここまで、一応、子供の損害賠償責任についてお話ししましたが、子供が損害賠償責任を負うとか負わないとかいっても、子供には十分な資力がないのが通常です。

被害者からすれば親に支払ってもらいたいと思うのが普通です。

それでは、親の責任はどうなのでしょうか?

 

 

民法では、未成年者に責任能力がない場合には、原則として「監督する法定の義務を負う者」が損害を賠償する責任を負うとしています(民法714条1項)。「監督する法定の義務を負う者」とは通常は親です。つまり、子供に「責任能力がない」場合には親が賠償責任を負うことになっています。

 

 

では、子供が15歳で「責任能力がある」場合はどうでしょう?

法律の文言からすれば、未成年者に責任能力がある場合には、親は責任を負わないようにも読めます。

しかし、それでは、被害者が救済されないケースが多く出てきます。「子供はお金がないので払えない、親は責任がないので払わない」となってしまいます。

 

 

そこで、現在では、未成年者が責任能力を有する場合であっても監督義務者(通常は親)の指導が不十分であったために未成年者が不法行為を起こしたといえる場合には、親も責任を負うという考え方になっています。

 

 

したがって、いずれにしても、子供にしっかりと安全についての指導をしていないと親が損害賠償責任を負うことがあり得ます。

また、しっかり指導していたつもりでも事故は起こります。万が一の場合に備えて、賠償責任保険に加入しておくことをお勧めします。

 

 

離婚について

最近、離婚の相談を多く受けます。真剣に離婚を検討している人もいれば、「万が一のとき」のために参考までに聞いておきたい、という人もいます。

 

 

我が国では、近年、おおむね結婚した夫婦の3組に1組が離婚しているというデータがあるようです。

 

 

なぜ、そうなってしまったのか、私には分かりませんが、価値観の多様化などが一因なのかも知れません。

 

 

さて、一口に離婚といっても、「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」などがあります。

 

 

全体の離婚件数のうち約9割が協議離婚です。残りの約1割が家庭裁判所で調停が行われます。

調停になったもののうち約1割が裁判(訴訟)になります。

 

 

離婚する場合の問題点は多岐にわたります。

 

 

まず、離婚原因があるのか?(協議離婚の場合、夫婦が合意すれば離婚できますが、訴訟になった場合、法律上の離婚原因がなければ離婚は認められません。)

 

 

次に、子供の親権はどうなるのか?慰謝料はもらえるのか?養育費は幾らか?

自宅の名義をどうするのか?夫名義の住宅ローンはどうなるのか?

子供の学資保険はどうすればいいのか?

子供名義の預金はどうなるのか?

 

 

このように、離婚する場合、あまりにも論点が多くて、「離婚は結婚より何倍も大変」といわれるわけです。

 

 

これらの多くの論点をインターネットで質問しても、断片的な回答しか返ってきません。

 

 

離婚にまつわる諸問題を総合的に検討するためには、法律専門家にゆっくり時間をかけて聞いてもらう必要があると思います。

 

 

インターネットで得られる断片的な知識はかえって危険な場合がありますので、ご注意下さい。

 

民事と刑事の違いについて

今回は、民事事件と刑事事件の違いについて。

 

 

民事事件とは、私人間の生活関係に関する事件で民事訴訟の対象となるもののことで、金銭の貸借とか、契約の不履行、交通事故などによる損害賠償などがこれに該当します。

 

 

刑事事件とは、刑法の適用によって処罰される事件のことで、窃盗罪、傷害罪、詐欺罪、殺人罪など、刑事罰のあるものについての裁判手続です。いわゆる「犯罪」を処罰する手続がこれに該当します。

 

 

民事事件と刑事事件の違いはたくさんあるのですが、大きな違いは手続きの厳格さです。

 

 

どう違うかというと、刑事事件の方が圧倒的に手続が厳格です。

どちらも証拠によって判断するのは同じなのですが、使用できる証拠の種類や証拠の使い方が全然違います。

 

 

例えば、刑事事件では「伝聞証拠」は原則として使用できません。

「伝聞証拠」とは、伝え聞いた証拠のことですが、Aが「Bから聞いた話だけど、Cが犯行現場にいたのを見たらしいよ。」という場合、Aの話は証拠として使えません。

この場合、Cを見たと言っているBが法廷で証言しなければ証拠になりません。

 

 

では、「私はCが犯行現場にいるのを見ました。」というBの供述調書(供述内容を書面にしたもの)は証拠として使えるでしょうか?

原則として使えません。

これも伝聞証拠なのです。

 

 

えっ?伝え聞いた話じゃなくて、Bが言っている話でしょ?

と思われるかも知れませんね。

 

 

どうして使えないのでしょう?

先ほどの例(Bが法廷で証言)とどこが違うでしょうか?

 

 

Bが法廷で証言する場合、裁判官が直接Bの答える様子を観察できます。

また、反対尋問によって、様々な角度から証言をチェックできます(例えば、本当に犯行現場を通ったのか、なぜそんなところへ行ったのか、何を見てCだと判断したのか、顔なのか、服装なのか、乗っていた車なのか、警察官からCの写真を見せられて「この人に似ていませんでしたか?」と聞かれて、「似てるように思います」と答えただけではないのか?等々。)

 

 

このようなチェックを受けても動揺しない確実なものなのか、ぐらついてしまうのか、それによって証拠の価値(証明力といいます)が変わってきます。

供述調書ではこのようなチェックをすることができないのです。

だから、供述調書は原則として証拠として利用できない「伝聞証拠」とされているのです。

 

 

このように、刑事事件は証拠として利用できるものは厳格に制限されています。

その他にも、刑事事件には色々と厳しいルールがあります。

 

 

その背景には、刑事事件では、懲役とか罰金とか、ときには死刑とか、人の重要な権利を奪うことになるため、万が一にも誤りがあってはならないという思想があります。

この思想が「疑わしきは罰せず」という標語に端的に表れています。

しかし、この精神は必ずしも徹底されていないのが現状です。

 

 

マスコミは、まるで「疑わしきは犯人だ」と言わんばかりに報道をします(最近はだいぶ配慮するようにはなってきましたが、私にはまだまだ不十分なように感じます)。

 

 

一般市民も、「火のないところに煙は立たないだろう」と考えて、「疑わしい」=「犯人」と考えがちです(しかも、一般市民が接することのできる情報は通常マスコミ情報だけです)。

 

 

だからこそ、裁判所だけでも、「疑わしきは罰せず」の精神を忘れてはいけません。

先ほど伝聞証拠は「原則として」証拠として利用できないと言いましたが、例外として利用できる場合があります。

 

 

この例外を緩く運用するか、厳格に運用するかによって、結論が変わってくる場合があります。

 

 

いかにマスコミが書き立てようと世間が騒ごうと、裁判所だけは「疑わしきは罰せず」の精神を忘れないでいてほしいものです。

 

賃料の滞納について

今回は、賃料の滞納問題について書いてみたいと思います。建物の賃貸借を例に取ります。

 

 

賃料の滞納は、大家さんとしては頭の痛い問題です。

基本的には、なるべく早く処理する方が好ましいと言えます。滞納額が大きくなると収拾がつかなくなるからです。

 

 

例えば、滞納が100万円になったとします。積もり積もって100万円です。払えないから滞納するのです。通常100万円を一括返済することはできません。

 

 

滞納している人は、よく、「少しずつ払います」と言います。しかし、ただでさえ滞納しているのに上乗せして払うことは困難です。

 

 

ですから、「いずれ払ってくれるだろう」と思って猶予を与えると、結局、滞納額が膨れていきます。

 

 

金額が膨れあがって、これ以上我慢ならないとなってから弁護士に相談に来られる方が多いです。

 

 

こういう場合、一般的には建物明渡訴訟をすることになります。しかし、明渡訴訟は時間と費用が結構かかります。費用は弁護士費用も必要ですが、明渡業者の費用がかなりかかります。大家さんの中には明渡業者の費用を余り意識されていない方もおられます。

 

 

業者の費用というのは、簡単に言えば、引越費用と保管費用です。

強制執行というのは荷物を運び出しますので引越のようなものです。

 

 

ところが、通常の引越とは違い、強制執行は危険を伴うこともありますし、特殊な目録の記載方法を習得している必要があります。その他、様々な明け渡しのテクニックが必要です。ですから、結構、高額となります。

 

 

また、建物の明渡自体は、建物内から動産類(人が居座る場合は人も)を搬出することで完了しますが、搬出された動産類は大家さんのものではなく賃借人のものです。ですから勝手に処分できません。法律の規定に従って一定期間保管する必要があります。

 

 

この保管のために倉庫を有償で借りる必要があり、保管費用が発生するのです。特に、この保管費用については意識されていない方が結構いらっしゃいます。

 

 

もっとも、執行官の判断で「即日売却」が可能な場合があります。この場合は保管費用が必要ありません。

 

 

これらの費用は誰が持つかというと、本来の理屈では家賃を滞納した賃借人が負担すべきものです。しかし、本来負担すべき賃借人にはお金がありません。だから、大家さんが立て替えることになります。理屈はどうであれ、実際には誰かが支払わなければ執行官も業者も動いてくれません。

 

 

では、立て替えたお金はどうなるのでしょうか?もうお分かりですよね。理屈として賃借人に請求することは可能ですが、回収できる見込みはまずありません。

 

 

結局、100万円の滞納賃料は回収できず明渡費用も負担して、しかも時間がかかります。この時間を新しい賃借人に貸したほうがよっぽど得です。

 

 

現実的には、3〜4か月滞納した時点で、内容証明郵便等で督促することが効果的です。この時点ならば、賃借人が頑張れば追いつける可能性があるからです。また、「内容証明郵便」が届いたというプレッシャーを与えることで一定程度の効果を期待できます。

 

 

そして、相手の対応にもよりますが、滞納が続きそうな場合は、賃料をあきらめてでも早期に荷物をまとめて退去してもらえば損害は少なくて済みます。

 

 

また、退去しそうにない人の場合は、早めに訴訟を提起してしまうのも一つの選択肢です。なお、訴訟手続きの中でも和解が可能ですので、裁判官から説得してもらって早期に退去してもらう場合もあります。任意に退去してくれれば、上記のような業者の費用が不要となりますし、解決までの時間も短縮できます。

 

 

いずれにしても、早めに行動することが肝要です。

もっとも、事案によっては、明渡の訴訟提起が「権利濫用」とされるケースもありますので、詳しくは法律専門家に相談されることをお勧めします。

 

女川秋刀魚収穫祭in宝塚

平成25年10月14日,末広中央公園で女川秋刀魚収穫祭in宝塚に参加しました。

 

 

宝塚商工会議所青年部では,東北の震災以降,宮城県・女川町の復興を応援しています。

 

 

今回の企画は,「宝塚音楽回廊」というイベントの中で,宝塚商工会議所青年部として女川町の秋刀魚を炭火で焼いて無償で提供する企画です。

提供する秋刀魚は何と1000匹!

 

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休業損害について

今回は交通事故の休業損害について書いてみます。

 

 

休業損害とは、文字通り、仕事を休業したことによる損害です。原則として、実際に仕事を休んで実収入が減少した額を請求できます。

給与所得者の場合、雇用主に「休業損害証明書」を作成してもらい証明します。仕事を休んでも今までと同じ給料をもらえたのであれば、「損害」がないので請求できません。

では、有給休暇を使用した場合はどうでしょうか?この場合は請求できることになっています。有給休暇を使用しても給料は減りませんが、本来であれば、別の機会に使用することができた分を使ったことが「損害」といえるからです。

 

 

自営業者の場合は、原則として直前の確定申告書所得額を基準にして、休業中にどれだけ実収入が減少したかを計算します。

本来、「実際の収入の減少」というのは、「怪我がなかったとしたら得られた収入」のことですので、本当は分かりません。あくまで、前年度の所得を参考にするしかないのでそうしているのです。

なお、家賃などの固定費は損害として認められます。休業中も家賃等は支払わなければならないからです。

 

 

では、主婦の場合はどうでしょうか?主婦は給料をもらっていません。だから怪我をして家事を休んでも「損害」がないのでは?と思われるかも知れません。

しかし、交通事故の損害賠償実務では、主婦の場合も、家事労働ができなかった期間については休業損害が出ることになっています。主婦の家事労働も金銭的に評価することが可能との考え方によるものです。

主婦の家事労働は幾らと評価されるのでしょうか?いろいろな考え方があると思いますが、交通事故の損害賠償実務では、働く女性の給料の平均額を基準にします。

 

 

ところで、自営業者や主婦の場合、給料が減ったというような目に見える物差しがありませんし、怪我をしていても、入院中やよほどの重傷で動けないなどの場合以外は、できる範囲で仕事や家事をする人が多いと思います。

ですから、必ずしも、治療期間の100%が「損害」と認定されるのではなくて、裁判例では、通院期間の50%分を認めたり25%分を認めたり、通院した日数分だけ認めたりして調整しています。

 

 

このように、一口に休業損害と言っても複雑な場合がありますので、判断が難しい場合は専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。

 

私道について

今回は「私道」について書いてみます。

 

 

まず、「私道」とは何と読むのでしょうか?普通に読めば「シドウ」です。しかし、それだと、「市道」と間違いやすいです。だから、業界の人は「ワタクシミチ」とか「ワタクシドウ」などと読みます。

 

 

では、「私道」とは何でしょう?

簡単に言うと、私人が所有している道路です。

よく、「私道につき、立入禁止」などの立て看板を見かけますよね。これは、「私の個人的な土地で個人的に利用しているので他の人は通らないでください」という意思表示です。

この看板を見ると、「ああ、私道なのか、仕方がないな、他の道を通ることにしよう。」となりますね。

まあ、普通はこれでいいのです。

 

 

しかし、そうならない場合があります。所有者以外の他人が「私道」を通れる場合があるのです。

これには、いくつかの種類があります。例えば、公道に直接通じていない土地の所有者はその土地を囲んでいる土地を通ることができます。これを囲繞地(いにょうち)通行権といいます(民法210条)。その他には、他人の土地について賃貸借契約などを締結して通行することもあります。また、通行地役権(民法280条以下)というのもありますが、少しややこしいので省略します。

 

 

特に、よく問題になるのは、建築基準法上の道路です。

建築基準法では建物の安全や防災などの観点から種々の規制がなされていますが、その中に、建物を建てる場合、その敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないという規制があります(接道要件)。

この接道要件を満たすために、私道が「道路」として指定されることがよくあるのです。

具体的に言いますと、一定の規模の区画を開発して分譲住宅を複数建築する場合、もともとの土地はたいてい私人の所有ですから、もともと「公道」などはなく、私有地を建物敷地にする部分と「通路」にする部分に分けます。すると、その「通路」は私人の所有地であるけれども、「道路位置指定」という行政処分を受けます。すると、その「通路」は、建築基準法上の「道路」になるわけです。

このように行政処分を受けた「道路」はあくまで「私道」なのですが(公道になるわけではない)、日常生活でその「道路」を通ることが必要な人(その区画の住民など)は「私道」の所有者でなくても通れます。この場合、「私道」所有者は、「私道につき、立入禁止」の看板を立てて道路をふさいでしまうことはできません。

 

 

以上のように、「私道」といってもいろいろあるのですが、一般的にややこしい法律のことは知られていませんから、「私道」についてのトラブルは多いのです。

「私道」だからといって必ずしも所有者の自由にはなりません。近隣の方と揉める前に法律関係を確認しておくことをお勧めします。

 

西宮高等学校講演

平成25年9月4日、兵庫県弁護士会の法教育委員会の活動として兵庫県立西宮高等学校へ講演に行ってきました。

 

 

県立西宮高等学校では、キャリア教育に力を入れていて、今回の講義は「本物の学問、本物の職業を知る」というテーマで、仕事とはどういうものかを生徒達に伝えることが目的のようです。

 

 

講義の対象は普通科の2年生全員で320名でした。

歴史を感じる立派な講堂で講演したのですが、人数の多さにさすがに少し緊張しました。

 

 

講義は

①なぜ弁護士という仕事を選んだか

②弁護士という仕事について

③高校生へのメッセージ

という3つのテーマに分けてお話しさせていただきました。

 

 

生徒の皆さんは、しっかりと顔を私のほうに向けて聴いてくれました。

私の経験が少しでも役に立てばと思い、進路で悩んだことや仕事上の喜びや苦しみなどを率直にお話ししました。

 

 

生徒の皆さんが進路や職業を検討するに当たって少しでも参考になれば幸いに思います。

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故意について

今回は久しぶりに刑事事件について書いてみます。「故意」とは何かについて。

 

 

「故意」とは、国語辞典によると、「意識して行うこと」とか「わざとすること」などと書かれています。

報道では、よく「殺意を否認」などと書かれているのを目にしますね。「殺人の故意はなかった」という主張をしたという意味です。

では、「故意」とは何でしょう?

刑事手続でいう「故意」とは「犯罪事実を表象して、かつ、認容すること」などと説明されます。しかし、これでは分かりにくいですね。

 

 

ときどき友人から尋ねられることがあります。

「『故意』って『わざと』ってことでしょ。『わざと』かどうかは内心の問題だから、他人からは分からないんじゃないの?。本人が『わざとじゃない』と言えば、証明できないんじゃないの?」

確かに故意とは内心の状態のことです。

しかし、本人が否定しても内心を証明することは可能なんです。

 

 

実は、故意の立証は外形的・客観的に行います。

例えば、包丁で刺して人を殺したという被疑事実の場合、殺すつもりがあったか否かが争点になることがあります。

このような事案の場合、外形的な事実としては、包丁の大きさ、刃渡りの長さ、刺された部位、傷の深さ、方向、幅などが外形的な事実です。その他にも、争う声を聞いたとか、被害者に防御創(防御したときにできた傷)があるか否か、それまでの被害者と被疑者との関係なども外形的な事実です。

被害者と被疑者の体格の差、性別なども外形的な事実です。借金があったとかもそうです。挙げればキリがありませんが、そのような外形的事実を積み重ねて故意という内心を証明するのです。

ですから、わざとじゃないと言い続ければ殺人にならない、ということにはなりません。

 

 

また、逆に「殺すつもりでした」という自白があってもそれだけで故意を証明したことにはなりません。

近年、再審事件などで改めて自白偏重の問題が指摘されています。

人は(裁判官も裁判員も)、自白があると安心して有罪にできるという心理が働きます。

しかし、刑事手続の原則に立ち戻って、外形的・客観的証拠から認定するということを忘れてはなりません。

 

 

自白のことを述べると、「どうして人は虚偽自白をするのか」(これもよく友人から聞かれます)についても書きたくなりますが、長くなりますので、またの機会にします。

 

第31回インターアクト地区年次大会

平成25年8月18日と19日、一泊二日で第31回インターアクト地区年次大会に参加してきました。

 

 

インターアクトというのは、このブログでときどき紹介していますが、12歳から18歳までの青少年を対象とする社会奉仕と国際理解・親善を目的とした国際ロータリーの奉仕クラブです。

 

 

地区年次大会は、毎年、テーマを決めて、各学校のインターアクトクラブの生徒と顧問の先生、そしてロータリークラブのメンバーが集まって、ワークショップなどを行ったり発表を行ったりする大会で、31回続いている伝統的な行事です。

 

 

今年は、俳優であり脚本家でもある南条好輝(なんじょうこうき)さんの講演とワークショップでした。

 

 

講演では、「演じるということ」という題で、俳優を目指されたきっかけや、その目標に向けて努力されてきたことなどを熱く語っていただきました。なんと、南条さんは小学校4年生で役者になることを決めて、そのためのタイムスケジュールを自分で組んで努力されたそうです。

 

 

私が一番印象に残った言葉は「失敗を恐れる気持ちが失敗を生む。100点を目指さずに肩の力を抜くことが大事だ」という言葉でした。

 

 

講演の後、南条さんは引き続きワークショップも主導してくださいました。

呼吸法や発音・発生のトレーニングの後、夕食を挟んで、自己表現のワークショップが行われました。

「私の身に起こった強い体験」というテーマで初対面の人と話すという、大変重たい内容のものでした。

生徒達は、緊張しながらも、少しずつ心を開いて話をしていました。涙を流しながら話す生徒もいました。

 

 

2日目、ワークショップの発表が行われました。

生徒達自身による発表です。そこには、ワークショップの時に見せた恐る恐る話す生徒ではなく、しっかりと自分の言葉で話す生徒の姿がありました。

 

 

2日間だけの大会でしたが、この大会で生徒達は大きく成長したのではないかと思えました。

私にとっても、大変貴重な経験になりました。

 

 

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夫婦関係調整調停について

今回は「夫婦関係調整調停」について書いてみたいと思います。

 

 

「夫婦関係調整調停」とは聞き慣れないかも知れませんが、≒「離婚調停」のことです。

 

 

実は「夫婦関係調整調停」には二種類あります。

一つは、離婚を求める調停です。

もう一つは、こじれた夫婦関係を元に戻すことを求める調停です。

いずれの調停も正式には「夫婦関係調整調停」といいます。

ただ、一般的には前者が圧倒的に多いので、「夫婦関係調整調停」≒「離婚調停」と言ってもいいと思います。

 

 

ご存知の方もおられるかも知れませんが、離婚には協議離婚、調停離婚、裁判離婚などがあります。

 

 

協議離婚というのは、裁判所などに行かずに離婚届けを役所に提出して円満に離婚することです。

円満に行かない場合には、調停や裁判(訴訟)となる場合があります。

一言でいうと、調停は話し合い、訴訟は喧嘩です。

調停を行っても結論が出ない(話がまとまらない)場合、訴訟を提起して判決を求めることになります。

 

 

ところで、調停をしてから訴訟をするなんて面倒くさいので最初から訴訟をしたいという人がいます。

しかし、法律では、離婚調停をせずにいきなり離婚訴訟を提起することは原則として禁止されています。

なぜかというと、まずは話し合いの場を設定して、やり直すことが本当にできないのか考え直してもらうためです。

だから離婚を求める調停も「夫婦関係調整調停」というのです。

 

 

実際に、喧嘩して頭に血が上って調停を起こした人でも、調停での「調整」によって冷静になり、調停を取り下げる人もいます。

 

 

離婚に限らず、何事もいったん冷静になってから行動することが大事ではないかと思います。

第2回インターアクト研究会

平成25年8月3日、第2回「全国インターアクト研究会」に出席しました。

 

 

私が所属している宝塚ロータリークラブの青少年奉仕委員長としてインターアクトクラブの活動等について勉強することが目的です。

 

 

インターアクトクラブというのは、12歳から18歳までの青少年を対象とする社会奉仕と国際理解・親善を目的とした国際ロータリーの奉仕クラブです。

 

 

私が所属する宝塚ロータリークラブでも、1987年に雲雀丘学園インターアクトクラブを設立しております。

http://www.hibari.ed.jp/weblog30/cat8/cat21/

 

 

この研究会では、全国各地のインターアクトクラブの顧問の先生やインターアクトクラブを担当するロータリークラブの委員が集まり、活動報告や意見交換を行うものです。

 

 

研究会は2日間にわたり開催されたのですが、私は一日目は参加できず、二日目のみの参加となりました。

 

 

二日目のプログラムは、前日に行われた分科会のまとめの発表と元RI (国際ロータリー)理事黒田正宏氏の基調講演です。

 

 

各分科会の発表はとても感心させられるものが多く、若い人たちが頑張っていることに私自身が励まされました。

 

 

黒田氏の講演は、インターアクトクラブを支援する立場にあるロータリークラブの役割を改めて考えさせられる内容でした。

 

 

今期、私は青少年奉仕委員長でもありますし、普段から若い人たちを応援したいという気持ちを持っておりますので、できる限りインターアクトクラブを応援していきたいと思います。

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夏期研修会

平成25年7月27日、大阪弁護士会館で近畿弁護士会連合会の公害対策・環境保全委員会による夏期研修会が開催され参加しました。

 

 

今年の夏期研修会のテーマは日本林業の現状と対策です。

 

 

日本林業が抱える問題点を学び、様々な関係者のお話を聴いて理解を深め、今後の進むべき道について、素人なりに、そして、法律の専門家として、考えるのがこの研修会の目的です。

 

 

各方面の挨拶の後、それぞれの委員(弁護士)がこれまでに勉強した成果を報告いたしました。

私は、日本林業の問題点を勉強するパートでしたので、その部分を報告(発表)しました。

 

 

ゲストとして、「森林・林業再生プラン」の策定に携わられた梶山恵司(かじやまひさし)氏に参加していただき、「森林・林業再生プラン」が策定されるに至った背景などにつきご説明いただきました。

輸出主導型経済システムなどの20世紀経済モデルは限界にきていて、これからは健全な地場産業を支えるシステムが必要とのお話しが印象に残りました。

 

 

 

この研修会に参加して分かったことは、日本林業には多くの問題点があり、解決策は容易には見つからないということです。

 

 

それでも、参加したひとりひとりが問題意識を持つことができただけでも有意義であったと思います。

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大阪拘置所見学

平成25年7月26日、兵庫県弁護士会人権擁護委員会の企画で、大阪拘置所見学に参加しました。

 

 

拘置所とは、刑務所とは違い、未決拘禁者である被疑者・被告人と死刑確定者を収容する施設です。

 

 

大阪拘置所は大阪市都島区の住宅地の近くにあり、平成22年より老朽化等に伴う改築工事が進行中です。

基本的に収容者を収容したまま改築を進めるため、改築工事が完了するまで10年程度かかると言われています。

 

 

会議室でひと通りの説明を聞いた後、施設内部を見学しました。

種々の事情で施設内すべてが見られるわけではないのですが、一部が見られただけでもたいへん貴重な経験になりました。

 

 

施設見学の後、施設職員との質疑応答及び意見交換が行われました。

詳しい内容は控えますが、弁護士会からは、人権に配慮した待遇を確保するようにお願いしました。

 

 

無罪推定が働く被疑者・被告人には受刑者以上に人権に対する配慮が必要です。

弁護士会がこのような見学会や意見交換を行うことはとても有意義なことだと思います。

今後もこのような機会があれば積極的に参加していきたいと思います。

 

 

なお、今回は弁護士会の企画ですので、一般の方は見学できません。

 

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交通事故について

今回は交通事故について書いてみます。

 

 

交通事故は自分が注意していても被害に遭うことがあります。

大きな怪我になれば大変ですが、小さい怪我でも、治療費の問題や通院のための休業の問題等さまざまな問題が生じます。

 

 

一般的には、事故に遭った当事者(被害者)は保険会社(通常、加害者が加入している任意保険会社)と話を進めていきます。

 

 

たいていの保険会社は親切に対応してくれます。「おけがの具合はどうですか?」「通院状況はどうですか?」と。

ところが、ある程度事故から期間が経過すると、「そろそろ症状固定ではないですか?」「治療費の支払いは終わりにしたいと考えています」という話が出て来ます。

 

 

「症状固定」というのは、交通事故に遭った方でなければ聞き慣れないかも知れません。これは医学上の用語ではなく、労災や自賠責保険の実務上の用語で、「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待しえない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態」を意味します。

 

 

一般的に、症状固定時までの期間については治療費と傷害慰謝料(入院と通院の期間を参考にして算定する慰謝料)が支払われます。

症状固定後は、後遺症があれば後遺障害慰謝料(後遺障害の程度によって異なります)が支払われます。

 

 

また、収入の減少については、症状固定時までは休業損害(原則的には実際に収入が減少した額)が支払われ、症状固定後は後遺症が存在すれば逸失利益(後遺障害による将来の収入の減少分)が支払われます。

 

 

このように、「症状固定」は休業損害や慰謝料の判定において重要な意味を持ちます。

症状固定かどうかは、症状の推移や治療内容等から総合的に判断されるものですが、訴訟で症状固定時期が争われることも結構あります。

 

 

特に、症状固定については、当事者(被害者)が考える「症状固定」と保険会社が考える「症状固定」の間に差が生じることがよくあります。

当事者は「まだ怪我が治っていないから治療を続けたい」と考え、保険会社は、保険実務の観点から「症状固定の時期に来ている」と考えることでこのような齟齬が生じるのです。

 

 

交通事故に遭われて、保険会社から「そろそろ症状固定ですね」と言われた場合、慎重な判断が必要になります。

そのような場合は、交通事故を多く扱う弁護士にアドバイスを求めることをお勧めします。

 

 

以上、今回は、交通事故、特に「症状固定」について述べましたが、交通事故については多くの論点がありますので、また、改めて書く機会を設けたいと思います。

 

強制執行について

今回は強制執行について

 

 

強制執行にもいろいろありますが、今回は金銭の回収を目的とする強制執行について書いてみたいと思います。

 

 

例えば、金銭の回収を目的とした裁判で勝訴判決を得たとします。この場合、相手が観念してお金を払うことがあります。しかし、判決が出ても意地でも払わない人や現金がなく払えない人もいます。そういうときには、強制執行をすることになります。強制的に相手の財産からお金を回収するのです。

 

 

このタイプの強制執行には、不動産から回収する、動産から回収する、債権から回収する、などがあります。

 

 

まず、不動産から回収する方法について。簡単にいうと、不動産を売ってお金に換えるのです。こういうと、すごく簡単そうに聞こえますが、実際は、できるだけ高く売らないといけないので入札をします。

そのためには、不動産の状況を調査したり、価格を評価して入札の基準となる価格を決めたりするので手間がかかります。そのための費用もかかります。

 

 

そして、一番の問題は、不動産に抵当権などがついているときには、抵当権者がまず優先しますので、抵当権者が回収しても残りがある場合しか強制執行はできないのです。そもそも経営が行き詰まっていてお金を払えないというケースの場合、たいてい所有する不動産には抵当権が設定されていますから、回収が困難な場合が多いです。

 

 

次は動産執行です。動産執行とは、動産をお金に換えるのです。

しかし、お金に換えられるものは限られています。

まず、生活に必要なものはお金に換えられません。衣類、テーブル、タンス、家電等は無理です。

 

 

生活必需品でないもので高価なものはお金に換えられる場合があります。

ただ、よほど高価なものでないと、手続費用のほうが高くつくということで、駄目ということになります。可能性があるとすれば、高級腕時計とか高価な宝石くらいでしょうか。

 

 

最後に債権執行です。債権執行で一般的なものは預金と給料です。

預金口座を差し押さえるには銀行と支店を特定する必要があります(口座番号までは必要ありません)。

 

 

給料の差押えは、給与所得者で職場が分かっている場合には比較的容易です。ただし、給料はその人の生活費になるものなので、生活ができなくなるような差押えはできず、一定の制限があります。

 

 

そして、どの種類の強制執行の場合でも、どこにどういう財産があるかは、申し立てる人が申告しなければなりません。裁判所などが探してくれるわけではないのです。

 


このように、強制執行は公権力が強制的にお金を回収するという最後の手段なのですが、常に確実に回収できるというものではありません。
お金の回収で法的手続きを考えている方は、上記の点を注意しておいてくださいね。

 

相続について

今回は「相続」について。

 

 

相続というと範囲は広いのですが、今回は全般的なことを書きたいと思います。

相続とは、平たく言えば、財産などの権利義務を承継することです。

相続には、大きく分けると遺言がある場合とない場合があります。

 

 

遺言がある場合は、基本的に遺言に従って相続財産を分けます。ただし、相続人の全員が合意すれば遺言に従わない分け方も可能です。

また、「遺留分」といって、相続人に一定の権利を留保する制度があります。これは遺言どおりにならないという意味で一種の遺言の例外と言えます。「遺留分」は非常にややこしいですので、今回は省略します。

 

 

遺言がない場合は、「法定相続人」が話し合って分け方を決めます。「法定相続人」が誰かというと、民法で細かく規定されています。一般的には、配偶者とか子供などです。

この場合、遺産を分ける基準として「法定相続分」という法律で定められた割合がありますが、必ずしもこの割合どおりに分ける必要はありません。相続人同士で話し合いがまとまったのなら、どのような分け方でもいいのです。

 

 

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で調停や審判をする必要があります。

この場合には、「法定相続分」が重要な意味を持ってきます。裁判所が判断するときには基本的に「法定相続分」どおりに分けます。

もちろん、話し合いのときに「法定相続分」を基準に分けるケースも多いです。

 

 

相続の対象となるものは「一切の権利義務」(民法896条)です。

ですから、現金、預金、不動産、動産、株式、社債、債権などさまざまなものが含まれます。

ところで、借金などの債務(マイナスの財産)も相続の対象です。

ですから、マイナスの財産ばかりという場合でも、何もしなければマイナスの財産を相続してしまいます。

このような場合は、「相続放棄」という手続きをするべきです。「相続放棄」をすればマイナスの財産を相続することはありません。

但し、この「相続放棄」は、総ての財産(ブラスもマイナスも)を放棄することになりますので、ご注意下さい。「ブラスの財産だけ相続し、マイナスの財産は相続しない」という都合のいいことはできません。

 

 

相続財産の分け方で揉めた場合やマイナスの財産があり困った場合などには、弁護士などの法律専門家にご相談下さい。

もっとも、できることなら相続で揉めたくはないですよね。

揉めた場合だけでなく、揉めないためにも、一般論について専門家に説明を聞いておくことも有用かと思います。

保釈について

今回は、たまには刑事事件について書いてみようと思います。

実生活上では、普通、刑事事件には関わりはないと思いますが、マスコミなどでは民事事件よりも刑事事件のほうが大きく取り上げられてますので関心のある方も多いかと思います。

 

 

今回は、刑事事件のニュースでよく出てくる「保釈」の話です。

 

 

ときどき誤解されている方がおられますが、「保釈」は無罪放免ではありません。

「お金持ちはお金を払えば許されるのか」とお怒りになる方がおられますが、そうではありません。

 

 

「保釈」というのは、一時的に「勾留」が解かれるだけです。

「勾留」というのは、一定の犯罪の容疑があり、証拠隠滅のおそれがあるなどの一定の要件がある場合に、裁判官の命令で行われる身体拘束です(逮捕と勾留の違いは省略します)。あくまで裁判が終わるまでの一時的なものです。

 裁判が確定して懲役刑(で執行猶予がつかない場合、いわゆる「実刑」)となると、「刑務所」に入りますが、「勾留」は「刑務所」には入りません。「拘置所」に入ります。

 

 

ご存じのとおり、刑事被告人には「無罪推定」の原則があります。

有罪判決が確定するまでは無罪と推定されている状態です。ですから、無罪の人を刑務所に収容できないのは当然のことです。

 

 

では、なぜ、「拘置所」に収容してもいいのか?

それは、裁判を適切かつスムーズに行うためです。被告人が逃亡すれば裁判がスムーズに行きませんよね。被告人が証拠を捏造したりすれば裁判が適切にできませんよね。

だから、そのようなおそれがある場合には、「悪いけど裁判が終わるまで拘置所にいて下さい」ということです。

 

 

それで、「保釈」というのは、被告人に一定のお金を出させて、「ルールを破ればお金を取り上げますよ」と警告をして被告人を拘置所から外に出すことです。

被告人はお金を取り上げられたくないので、逃亡したり証拠を捏造したりすることはやめようと考えるのです(そう考えない人がたまにいるのですが・・・)。

 

 

ですから、「お金を取り上げますよ」という警告が意味のないものでは困ります。大金持ちに200万円程度出させても、何とも思わないかもしれません。

だから、その人の資産状況も1つの参考にして金額を決めます。

世間を賑わすような人(政治家とか経済界の大物とか)の場合、保釈金額が大きいのはそのためです。「さすがにこれだけの金額なら取り上げられるのは辛いだろう」という金額を設定するのです。

 

 

そういうことですので、「金持ちは大金を積めば外に出られるというのはけしからん」というのは誤解です。

金持ちでなければ大金を積まなくても外に出られるのです(もちろん、取り上げられたくないと感じるようなそれなりの金額にはなりますが)。

 

 

もっとも、「保釈」という制度は、お金を積めば必ず出られるわけではないことに注意が必要です。

保釈が認められるためには法律で決められた細かな要件を満たす必要があります。要件は結構複雑ですのでここでは省略します。

 

 

このように、「保釈」とは「妙なことをすればお金を取り上げるぞ」と警告して、裁判が終わるまで一時的に被告人を外に出す制度なのです。

もし、近くに誤解している方がおられたら教えてあげて下さい。

 

 

篠山ロータリークラブ50周年記念式典

平成25年5月12日、たんば田園交響ホールで開催された篠山ロータリークラブ50周年記念式典に参加しました。

 

第一部は、記念講演として、宇宙飛行士毛利衛さんの「宇宙からの贈りもの」という講演でした。

二回の宇宙飛行の体験に基づいたたいへん貴重で興味深い講演でした。

 

毛利さんは、子供の頃より科学に興味を持ち、今から50年前の1963年(ちょうど篠山ロータリークラブが設立された年)に、北海道で、日本で見られる20世紀最後の皆既日食を見に行かれたそうです。

そこで体験した皆既日食の神秘さ、不思議さに魅了され、科学者になろうと決意されたそうです。

 

毛利さんの講演は一般の方にも公開されていて、たくさんの子供たちも講演を聞きに来ていました。

宇宙のことに興味のある子供たちが多く参加していたようです。

子供たちにとっても大変貴重な経験になったのではないでしょうか。

 

第二部は、記念事業の発表、様々な表彰、来賓挨拶などがありました。

来賓の方々より、篠山ロータリークラブの積極的な奉仕活動等に対して賛辞が述べられました。

 

第三部は、会場をユニトピアささやまに移しての祝宴でした。

祝宴はガーデンパーティーでした。ちょうどいい季候で気持ちが良く、「丹波篠山太鼓」や「よさこい」など、大変楽しい催しもありました。

 

とてもいい天気で、歴史のある篠山の良さを再確認した一日でした。

 

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証明について

 前回は「証拠」について書きましたので、今回は「証明」について書いてみたいと思います。

 

 「証明」とは、事実の存否について裁判官に確信を抱かせることです。「そうかもしれないね」程度ではダメです。「確信」です。もっとも、「確信」というのは推量の一種ですから、「真実」とは異なります。

 

 よく、マスコミなどで、「裁判で真実を明らかにしたい」というコメントを見かけますが、裁判は「真実」を明らかにすることが目的ではありません。紛争を解決するために一定のルールに従って決着を付けることが目的です。

 もちろん、裁判の過程の中で「真実」の一部が明らかになることはありますが、「そういうこともある」というだけです。あくまで、裁判の勝ち負けは、裁判官を「確信」に至らせるか否かです。

 

 では、裁判官が「確信」を抱く、とはどういうことでしょうか?

 科学の世界においては、99.・・・%の確率で誤差がない場合に、「新たな科学的法則が発見された」と認められるという話を聞いたことがあります。

 しかし、法律の世界は違います。

 裁判で争いになるのは、主に過去に起きた事実の有無です。科学のように条件を整えた実験を何回も繰り返して、99.・・・%の確率まで検証することはできません。

 

 では裁判官はどうやって「確信」に至るかというと、「証拠」に基づいて合理的な推量を積み重ねるのです。「こうだとすれば、常識的にこうだろう。そうであれば、当然こうなるだろう。」という具合にです。

 いわば、「証拠」という点と点を「経験則」(一般的に「常識」といわれるものです)という線で結んで、結論に達するか達しないかを判断するのです。裁判官は、必ず「証拠」から判断を組み立てなければならないのです。

 その意味で、前回述べた「証拠」が重要となってくるのです。

 

 もっとも、裁判官がすべて自分で判断しなければならないとすると、余りにも負担が大きいので、裁判官の判断を助けるための制度がいくつか用意されています。

 「推定規定」とか「立証責任」などと呼ばれるものです。これを説明するのはかなり大変なので、ここでは省略します。

 

 以上のとおり、裁判で「証明」するということは、「証拠」に基づいて、常識的な判断に従って裁判官に事実の存在を確信させるということです。

 このことを理解しているだけでも、いざ裁判となった場合、裁判の流れを把握しやすいと思います。 

 

 

遺言の日

平成25年4月20日(土)、いたみホールで「遺言の日」の記念行事があり、講師としてお声が掛かったので講演してきました。

 

 

「遺言の日」というのは、日弁連(日本弁護士連合会)が遺言の作成を広めるために始めた記念行事です。一応正式な「遺言の日」は4月15日です。「4(ゆ)1(い)5(ごん)」という説と「4(よい)15(いごん)」(遺言のことを「いごん」とも読みます)という説が拮抗しています。

近畿弁護士会連合会が1998年から記念行事を開催したことが始まりで、日弁連が活動を広げ、全国各地の弁護士会で記念講演や無料相談会が開催されます。

兵庫県弁護士会伊丹支部では、都合により、本年は4月20日の開催となりました。

 

 

講演では、本行事が遺言の作成を推奨することが一つの大きな目的であるので、「どうして遺言が必要なのか」「遺言を作成するメリットは何か」に焦点を置いて、遺言を作成したことのない人が作成したいと思えるような内容を意識して話しました。

また、「これだけのルールさえ守ればすぐにでも作成できますよ」という点についても、なるべく分かり易く話すことを心がけました。

 

 

講演を聴きに来られている方のうち、何人かは、ときどき大きくうなずいてくれていたので、「それなりに伝わっているかな」という感触はあったのですが、講演終了後、弁護士会伊丹支部の支部長さんより「分かり易かったですね」と言って頂いて、ホッとしました。

 

 

私の講演の後、伊丹支部長の講演があり、その後、相談希望者に対して弁護士による無料相談会が行われました。

結構多くの方が相談まで残られていました。

 

 

今回は、講演の内容の詳細は省略しますが、上にも書いたように遺言はそれほど大変なものではありません(もちろん、財産関係が複雑ですと大変な場合もありますが)。

みなさんも、遺言というものを余り大げさに考えないで、一度、検討されてみてはいかがでしょうか?

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証拠について

 今回は「証拠」について書いてみたいと思います。

 

 

 「証拠」とは何でしょうか?

 よく推理小説などで、「俺が犯人だという証拠でもあるのか?」という台詞が出てきますよね。推理小説の場合、たいてい決定的な証拠が用意されています。誰がみても一目瞭然というものです。

 

 

 実際の裁判ではどうでしょうか?一目瞭然の証拠があるというケースは余りありません。そんなものを持っていたら、はっきりしすぎていて普通裁判にまでなりません。たいてい微妙だから争いになるのです。ですから、実際の裁判で出てくる証拠で決定的なものは少ないです。

 

 

 では、どういうものが「証拠」になるのでしょうか?

 契約関係でもめた場合、まず、契約書は一つの証拠ですね。納品書とか請求書とか領収書とかも証拠です。銀行口座の出入金記録、メールのやりとりなども重要な証拠になる場合があります。

 

 

 ところで、よく、「やっぱり証拠がないとダメですか?」と聞かれることがあります。確かに証拠がなければダメです。しかし、決定的な証拠でなくても情況証拠も証拠です。

 例えば、その当時おかれていた状況、立場なども立派な証拠です。「このような立場であればこういう行動に出るはずがない」「こういう状況だったのだから、こういう行動に出ても不思議ではない」という風に使います。

 もちろん、「不思議ではない」という程度では駄目なんですが、そういうものを多く積み重ねれば勝訴できる場合があります。

 

 

 実は法廷での尋問も証拠です。質問に対してどう答えるか、答え方に不自然さはないか、そういうことを裁判官は観察しています。そして、十分信用できるとなれば、本人(あるいは証人)が述べたことは立派な証拠になります(もっとも、本人の言うことが信用されにくいことは前回書いたとおりです)。

 

 

 このように、「証拠」と言ってもいろいろなものがあります。

 「証拠がないからどうせ無理だろう」と思っていても、専門家が見れば、「立派な証拠があるじゃないか!」という場合もありますので、無理だと思っても一度専門家に相談してみることは損ではないと思います。

FM宝塚

本年4月よりFM宝塚のラジオ番組で法律のことについて話をすることになりました。

宝塚の5つの法律事務所が順番に参加します。

 

放送される時間帯は、毎週金曜日午前9:00から放送の「笑福亭瓶吾と愉快な仲間たち」内で、午前10:45〜10:55までの10分間です。

 

私が出演する最初の放送日は4月26日(金)です。

 

恥ずかしながら一応告知させて頂きます。

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訴訟について

 今回は「訴訟」について書いてみたいと思います。

 

 

 訴訟というのは、自分の主張が法的に正しいということを裁判所に審理してもらう手続きです。つまり、訴訟の目的は、自分の権利主張について国家権力によるお墨付きを与えてもらうということです。

 したがって、基本的には当事者同士が話し合うための場ではなく、戦いの場です。ですから、最初から熾烈な戦いになります。熾烈な戦いといっても、まずは、書面を出し合うことから始まります。そして、書面に対して書面で反論する、ということを何度か続けます。

 

 

 もっとも、実際の裁判期日(裁判が開かれることを期日と言います)では、「書面に書いてあるとおり陳述します。」というだけですので、傍聴に来た人にとっては、熾烈な争いのようには全く見えません。裁判官は、次の期日を決めて、次の期日までに、原告(あるいは被告)に対して、反論書面を○月○日までに出して下さい。」と指示します。こういう感じなので、裁判期日自体は盛り上がるわけではありません。

 しかしながら、一見、淡々と事務手続きが進んでいるだけのように見える期日においても、水面下で様々な綱引き、駆け引きが行われているのです。具体的に書くのは難しすぎるのでここでは省略させていただきます。

 

 

 そのような手続き(弁論準備手続)がしばらく続いたら、いよいよ尋問となります。

 尋問には証人尋問と当事者本人尋問があります。よくテレビなどで見るやつです(もっとも、テレビの場合、刑事手続きがほとんどですが)。

 証人尋問というのは、当事者ではない第三者が「証人」として証言します。虚偽を述べると偽証罪で処罰される場合があります。

 本人尋問は文字通り、当事者本人が尋問に応じます。

 本人の場合は、虚偽を述べたとしても偽証罪に問われることはありません(もっとも過料という軽い制裁が課せられる場合があります)。

 

 

 なぜ、このような違いがあるのかというと、当事者は、どうしても自分の有利なふうに述べる傾向がありますが、心情として、ある程度仕方がないというところがあります。本人が嘘を述べるだろうということはある程度織り込み済みだということです。その代わりと言うか、本人の言うことは、裁判官は、初めから眉唾ものだというつもりで聞いているのです。ですから、本人が一生懸命話しても、簡単には信じてくれません。逆に、ボロが出た場合には、「あなた自滅しましたよ。」と言って相手を勝たせます。(もちろん、このような言い方はしません。わかりやすく表現しただけです。)

 

 

 ですから、本人尋問というのは慎重に行う必要があります。依頼者の中には、「言いたいことを好きなだけ言わせてくれ。そのために訴訟を起こしたのだから。」という方がよくいらっしゃいます。しかし、興奮してくると、嘘を言うつもりはなくても、言い方によってはちょっとした矛盾(あるいは矛盾とも受け取れる発言)が生じることがあります。そのようなことが複数回あったりすると、相手に攻撃材料を与えることになりますし、裁判官からも「あなたのいうことは矛盾していますね。」と切り捨てられることもあります。

 

 

 ですので、「言いたいことを好きなだけ言う」ことは危険です。その辺りを依頼者の方に理解していただくことは結構難しいです(これをお読みの皆さんは、なるほどね、と思ってくれたかもしれませんが、当事者というものは、どうしても冷静になれない場合が多いようです)。

 

 

 尋問が終われば判決です。

 これまでの書面でのやり取りと尋問の結果を見て裁判官が判断します。

判決というのは、よく「白黒付ける」と言われます。確かに、一般には白黒付ける場合が多いです。もっとも、「過失相殺」といって、例えば、被告は確かに悪いけど、原告にも不注意な点があったよね、と言って、主張の一部が減額されることも度々あります。そういう意味では、必ずしもオールorナッシングではありません(訴訟の形態によってはオールorナッシングの判決しかない場合もあります。)。

 

 

 以上、判決までの大まかな流れを述べましたが、途中で和解に至る場合もあります。和解というのは、どこかで妥協点を見つけて合意することです。タイミングを見計らって裁判官が進めることが多いです。

 裁判官から和解の提案があった場合、弁護士はもちろん、依頼者と和解するかどうかについて相談することになります。和解に応じる方も結構おられます。もちろん、裁判官から提案があったといっても、従う義務はありません。「白黒はっきりさせたいので最後までやりましょう」となることもあります。

 ただし、ここで注意が必要なのは、先に述べたように、判決になっても、一部分だけが認められるにすぎない場合もあります。もちろん敗訴判決もあり得ます。せっかく判決をもらうことに決めても、「スッキリしない判決だな」とモヤモヤ感が残ることがあります。

 

 

 私たちの仕事は、勝利に向けて全力を尽くすべきことは当然ですが、以上に述べたようなことを説明することも重要な仕事の一つです。

 しかし、ほとんどの方が訴訟など慣れていないので(普通そうでしょう)、説明してわかってもらうことは容易ではありません。

 毎回、上手く伝えるためにどうすればいいか工夫しながら悩みながらやっています。

 

裁判傍聴

平成25年3月28日、宝塚ロータリークラブの企画で神戸地方裁判所の裁判傍聴に参加しました。

 

 

新世代奉仕委員会と職業奉仕委員会のコラボ企画です(私は、ロータリークラブの一員として参加しただけですが)。

宝塚ロータリークラブのメンバーと雲雀丘学園のインターアクトクラブの生徒さん達が参加しました。

 

 

最初に刑事裁判を傍聴しました。無罪を争う弁護人による最終弁論が行われておりました。

皆さん、非常に関心を持って傍聴されていたようでした。

傍聴終了後、いろいろと質問を受けました。刑事事件というのは報道などで接してはいるものの直接傍聴したりすることは余りないので、初めての経験で新鮮だったようです。

 

 

その後、裁判所の職員の方から裁判員裁判の説明を受けました。

実際に裁判員候補者が裁判員制度の説明を受ける「候補者待合室」に入って説明を受けました。「候補者待合室」に入ったのは、初めてでした。

裁判所の職員の方より丁寧で分かり易い説明がありました。

 

 

最後に、実際に裁判員裁判が行われる法廷を見学しました。

法服(裁判官が着る黒い服)を着て裁判官席に座って写真を撮ったりしました。

一般の方は普通、法廷に入ることはないでしょうから、貴重な経験になったのではないでしょうか。

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「調停」について

 今回は、「調停」について書いてみたいと思います。

 

 

 「調停」というのは、一言でいうと第三者を交えての話し合いです。

 「第三者」が誰かというと裁判所が選任する調停委員会です。通常、調停委員会は一人の裁判官と二人の調停委員から成ります。実際に話を聞くのは主に二人の調停委員です。調停委員は民間人です。通常、調停委員のうち一人は弁護士です。医事紛争や建築紛争等、専門的知識が必要な紛争の場合は、医師や建築士等の専門家が調停委員になることがあります。調停が開かれる場所は裁判所の建物の中です。

 

 

 調停には、大きく分けて民事調停と家事調停があります。

 

 

 民事調停とは民事事件(金銭の貸し借り、取引上の問題、損害賠償請求等)を扱う調停で、管轄は簡易裁判所です。家事調停とは家事事件(遺産分割、離婚、養育費等)を扱う調停で、管轄は家庭裁判所です。

 このように「話し合い」と言っても裁判所で行われる話し合いですから、調停を申し立てれば裁判所から相手方に対して通知が送られます。ですから、ときどき、「裁判所から通知が来た」ということで、立腹する人もいます。

 

 

 調停の流れは、次のような感じです。

 

 

 まず、裁判所に着いて名前を告げると待合室に通されます。

 待合室は必ず二つ以上あり、申立人と相手方は別の待合室に通されます。紛争状態にある二人を同じ部屋に入れると喧嘩が始まると困るからです。

 待合室から一人ずつ別々に調停室に呼ばれて、二人の調停委員が話を聞きます。

 こういうことを一回の調停の中で2〜3回繰り返します。二人を同時に部屋へ入れることは原則としてありません。

 

 

 調停委員は、双方の言い分を聞いた上で、それぞれ相手に「○○さんはこういうお考えのようです。」等と伝えます。もちろん、言い分すべてをそのままの言葉で伝えると感情的になることがありますので、表現に気をつけて伝えます。

 そういうことを繰り返しながら、調停委員は、双方に誤解があるようなら誤解を解消することに努めます。小さな誤解が出発点になってこじれている場合もあるからです。また、調停委員は双方の妥協点がないかを探ります。双方が譲り合って譲歩し合うことも一つも解決方法です。白黒をつけるだけが唯一の解決ではありません。

 

 

 そして、無事話がまとまれば、「調停調書」というものが作成されます。

 調停は「話し合い」だと述べましたが、話がまとまった以上は双方が約束を守らなければなりません。

 「調停調書」には強い効力があります。どのくらい強いかというと、確定判決と同じ強さです。確定判決と同じということは、普通の判決以上です。普通の判決の場合、不服を申し立てることができます(控訴など)。しかし、調停調書は確定している判決と同じ強さですので、不服申立てができません。「やり直してくれ」とは言えないわけです。

 なぜ、このような強い効力が認められるのかというと、当事者が自分で決めたからなのです。ここには、自分で決めたことには責任を持つべきだという自己責任の思想があります。

 法律の場面だけでなくても自分で決めたことに責任を持つということは重要なことですよね。

 

 

 残念ながら話し合いがまとまらなかった場合は、「調停不成立」となります。調停不成立の後の流れについては、調停の種類によって異なり、かなり複雑ですので省略します。

 

 

 以上、今回は調停について書きました。調停は訴訟ほどドラスティックな手続きではないので、「訴訟はちょっとなあ。」と思っている方でも検討する価値はあると思います。

 

 

「時効」について

 当事務所ではメールマガジンを発行して、法律関係の基本的な知識を配信しているのですが、ブログをご覧の方にも読んでいただけるように、今後、メールマガジンと同様の内容をブログにも順次記載していきたいと思います。

 今回は「『時効』について」です。

 

 

 「時効」について

 

 

 時効というのは、刑事手続でも民事手続でもあります。刑事手続では、お聞きになったことがあるかと思いますが、例えば、近年の法改正で、殺人の時効が無くなりました(刑事訴訟法250条1項)。強盗や窃盗などでは公訴時効があります。

 

 

 今回は、皆様に身近な民事手続の時効について書きます。

 民事手続の時効にも取得時効と消滅時効があります。「取得時効」というのは、一言でいうと、「一定期間、物を占有するとその物の権利を取得できる」というものです。細かい複雑な条件があり、今回は省略します。消滅時効というのは、一言でいうと、「一定期間、権利を行使しないと権利を失う」というものです。取得時効は、ある意味「棚ぼた」みたいな部分がありますが、消滅時効はうっかりしていると権利を失ってしまうので、日常の生活においてはこちらの方が重要だと思います。

 

 

 消滅時効の原則は、民法167条に定められています。債権の消滅時効は10年です。債権というのは、例えば、他人にお金を貸した場合に「返してくれ」と請求できる権利です。ですから、他人にお金を貸しても、10年間請求しないと権利を失うおそれがあります。「おそれがある」と書いたのは、厳密には時効の効果が確定的に生じるためには「援用」という法律行為が必要となるからですが、ここでは深入りは避けます。

 

 

 債権の消滅時効は原則10年ですが、商行為によって生じた債権の場合は5年です。「商行為」とは、事業として行う行為はほとんど該当すると思って下さい。

 

 

 その他、債権の種類によって、「短期消滅時効」というのがあります。例えば、運送代金、宿泊料金、飲食料金などは1年です(民法174条)。商品の売掛債権、学習塾の授業料などは2年です(民法173条)。賃金債権も2年です(労働基準法115条。ただし、退職金は5年)。家賃やマンション管理費は5年です(民法169条)。

 気をつけなければいけないのが不法行為の時効です。不法行為とは、故意や過失で誰かの財産などに損害を与えることをいいます。

 不法行為の時効は2種類あります。一つは、「損害及び加害者を知った時から3年」もう一つは、「不法行為の時から20年」です(民法724条)。いずれか早いほうで時効が成立します。ですから、加害者がはっきりしていて損害の程度が把握できている場合には、3年で損害賠償を請求できなくなるおそれがあります。

 

 

 それでは、消滅時効を阻止する方法はないのでしょうか?

 答えは、「あります」です。「時効の中断」と呼ばれるものです(民法147条)。

 おおざっぱに言えば、法的手続を取るか、債務者が債務を負っていることを「承認」した場合に時効は中断します。時効が中断するとは、その時点から再び時効が進行するということです。ですから、時効が「中断」しても、いつまででも請求できるわけではないことに注意が必要です。

 一般的に法的手続は大変ですので、簡便なのが「承認」です。簡便と言っても相手が「承認」してくれなければなりませんが、相手が債務を負っていること自体は争わないが支払いを猶予して欲しいと言っている場合には有効です。

 例えば、家賃を滞納している人が「もう少し待ってくれ」という場合、いわゆる念書を取っておけば、債務の「承認」になります。いつの分の幾らの家賃を滞納しているか等を記載して署名をもらっておけば良いのです。これが債務を「承認」した証拠となります。

 

 

 以上のように様々な債権の種類によって消滅時効の期間は細かく決まっています(今回書いたのはあくまで一部に過ぎません)。もし、あなたが何らかの請求権を持っているならば、消滅時効の期間を意識して、しかるべき時期に時効中断の措置を執ることをお勧めします。

 

 

 

インターシティミーティング

平成25年2月9日、神戸市立フルーツフラワーパーク内のホテルフルーツフラワーで開催された、ロータリークラブ阪神第3グループのインターシティミーティングに参加しました。

 

 

阪神第3グループとは、兵庫県の宝塚市、三田市、丹波市、篠山市にある7つのロータリークラブからなるグループです。

インターシティミーティングとは、一言でいうと、グループ内での親睦を深めるための会合です。

 

 

ひととおり関係者の挨拶などが済んだ後、若松進一さんの講演がありました。

若松進一さんは、愛媛県伊予市双海町(ふたみちょう)の「夕日のミュージアム」名誉館長などをされている方で、双海町役場で勤務されていたころから熱心にまちづくりに携わってこられました。

 

 

若松さんのお話はとても分かりやすく、かつ、面白く、会場は何度も大きな笑い声に包まれました。

若松さんは、「18時間マラソンシンポジウム」といって、まちづくりについて18時間の議論を企画・実行したり、「夕焼けプラットホームコンサート」という駅のプラットホーム上でのコンサートを企画・実行したりと、様々なまちづくりの活動をされてこられたそうです。

 

 

若松さんのお話でとても印象に残った言葉がありました。

それは、「自分の町に誇りを持っていない親に育てられた子供たちが、まちづくりなんてできますか?」という言葉でした。

親が「田舎だから○○がない、○○がない」と嘆いていては、子供たちが町を好きになるはずがないというのです。

「ない」ことを嘆くのではなく、自分たちの町にどんな魅力が「ある」のかに気付かなければ、まちづくりはできないということです。

 

 

このことは、まちづくりだけにあてはまるものではないと思います。

組織においても、あるいは、家庭においてもあてはまるのではないでしょうか?

自分たちの魅力は何なのか、武器は何なのか。それに気付くということがとても大事なことだと教えられました。

 

 

若松さんのお話を聞いて、私も宝塚のまちづくりに少しでも貢献できればいいなと改めて思いました。

 

 

若松さんの講演の後、懇親会に参加し、その後、フルーツフラワーパークで開催されていた「神戸イルミナージュ」というLEDイルミネーションイベントを観てきました。

とても幻想的で美しいイルミネーションに癒されました。

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「マイベストプロ神戸」の取材を受けました。

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