家業従事型の寄与分が認められる要件

今回は、寄与分の類型のうち「家業従事型」について述べたいと思います。

 

「家業従事型」の寄与分とは、相続人が被相続人の営む事業に無報酬あるいはそれに近い状態で従事し、労務を提供して、相続財産の維持又は増加に寄与する類型です。

 

被相続人が経営する会社の事業に従事した場合は、被相続人ではなく会社に対する貢献ですので、原則として寄与分は認められません。


ただし、当該会社が実質的には個人企業であるなど、被相続人と経済的に極めて密接した関係にあり、会社への寄与と被相続人の資産維持との間に明確な関連性が認められるような場合には、寄与分が認められる余地があります。

 

家業従事型は、さらに、a.家事従事型、b.従業員型、c.共同経営型の小分類に区別されることがあります。

 

特別の寄与」に該当するための具体的要件は、①特別の貢献、②無償性、③継続性、④専従性です。


しかし、特に無償性の要件を満たすのは難しいとされています(一定の給与をもらっていた場合や、「給与」という名目でなくても相応の生活費をもらっていた場合には、通常、無償性の要件を満たさないとされます)。