遺産の土地が共有名義の場合の共有減価について

相続の法律相談をしていると、「遺産の土地があるのですが、名義が共有名義になっています。共有だと評価額が低くなると聞いたのですが本当ですか?」という質問をよく受けます。

 

今回は、不動産の名義が共有の場合に評価額が下がる(共有減価)理由と、相続の場合に共有減価がどのように影響するかについて考えてみたいと思います。

 

そもそも、共有の場合に評価額が下がる理由ですが、単独所有であれば不動産を自由に使用・収益・処分を行うことができますが、共有持分である場合、様々な制約があります。

 

例えば共有物に変更を加えるには共有者全員の同意が必要ですし(民法251条1項)、共有物の管理(共有物を利用・改良すること)に関しては持分価格の過半数の同意が必要です(民法252条1項)。


このような制約があることにより共有持分は単独所有に比べて経済的価値が低いものとして扱われます。


これが「共有減価」と呼ばれるものです。一般には共有減価の割合は20~30%程度と言われています。

 

さて、今回のテーマである、「遺産の土地が共有名義の場合の共有減価」について考えてみましょう。

 

まず、ある土地につき被相続人と第三者との共有名義であった場合、被相続人の共有持分を評価するにあたっては、上記の共有減価の考え方が当てはまりますので土地の評価としては低く評価されることになります。

 

これに対して、土地の名義が被相続人と相続人の1人の共有名義となっている場合があります。


例えば、被相続人(父)の共有持分が2分の1、相続人(長男)の共有持分が2分の1というようなケースです。

 

このようなケースにおいて、長男が被相続人の共有持分を取得して、他の相続人(例えば二男)に対して価格賠償として金銭を支払うという分割方法があります(代償分割)。


この分割方法を採用する場合には、土地の共有持分の評価に関して共有減価はありません。


なぜなら、長男が被相続人の共有持分を取得することで土地の単独所有が実現し、前記の「共有物であることによる様々な制約」がなくなるため、共有減価を行う理由がないからです。

 

以上のように、遺産の土地が共有名義の場合の共有減価については、誰と誰の共有であるのか、遺産分割の結果、誰が取得することになるのか等によって異なってきますので注意が必要です。