「法律を知らなかった」は通用しない

今回は「法律を知らなかった」は通用しない、というお話です。

 

 

日本は、もちろん法治国家です。法治国家では「国民は法律を知っていなければならない」というのが古代ローマ時代から続く大原則です。

 

 

例えば、人の物を盗むと窃盗罪で罰せられます。

「窃盗罪」という罪名を知らない人はいるかも知れませんが、「人の物を盗むことは悪いことであり、犯罪である」ということは誰でも知っています。

常識として知っていないといけないのです。

 

 

では、自動車運転に関する交通違反はどうでしょうか。

自動車を運転するためには免許が必要です。免許を取るためには自動車教習所で勉強しなければいけません。

教習所で勉強しているはずなので、自動車運転に関する交通違反は知っているはずです。

 

 

それでは、自転車の交通違反はどうでしょうか。

最近、自転車の交通違反の取り締まりが強化されています。自転車は運転免許がなくても乗ることができるので、自動車教習所に通っていない人もたくさんいます。

それでも、「法律を知らなかった」は通用しません。「自転車が左側通行だとは知りませんでした」(※1)とか「夜になったらライトを付けないといけないとは知りませんでした」(※2)も通用しません。

※1 3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金

※2 5万円以下の罰金

 

 

上記の例は日常生活に関係する法律ですが、それ以外にもたくさんの法律があります。仕事に関係する法律もたくさんあります。

仕事に関する法律で特に重要なのは、会社でも自営業でも人を雇う場合には、労働法をしっかりと勉強しなければいけないということです。

 

 

こういう話をすると、「でも六法全書全部なんてとても覚えられません」という声が聞こえてきそうです。

しかし、それほど心配は要りません。自分の日常生活と仕事に関連する法律の基本を勉強しておけばたいていは大丈夫です。

例えば、趣味で鉄道の写真を撮る人は、線路内に立ち入ってはいけないとか(※3)、そういうことは知っておかないといけないでしょうね。

※3 鉄道営業法違反 1万円以下の科料 場合によっては威力業務妨害罪として3年以下の懲役または50万円以下の罰金

 

 

このように、基本的には日常生活に関係する法律と自分の仕事に関係する法律を知っていれば大丈夫ですが、非日常のことが起きた場合は注意が必要です。

例えば、相続などは非日常のできごとです。

自分に関係する相続が生じた場合には、初級者向けの本を買って勉強するとか専門家の法律相談を受けるなどして相続に関する最低限の法律知識については勉強されたほうがいいでしょう。