Q 離婚を考えています。子供が2人いるのですが、離婚した場合、養育費はどのくらいもらえますか?
A 基本的には当事者が合意して決めるものですが、話がまとまらない場合は裁判所で決めることになります。金額については、収入によって違ってきます。
一般的には、養育費算定表(http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html)をベースに子供の教育費の額などを斟酌して決定されます。
Q 結婚して20年です。新しい人生を歩みたいので離婚したいのですが、相手が反対しても離婚できるでしょうか?
A 相手が離婚に応じない場合には、民法が規定する一定の「離婚原因」がなければ離婚できません。単に新しい人生を歩みたいというだけでは離婚原因があるとは言えません。
法律が離婚原因として規定するのは、「不貞行為」「悪意の遺棄」「配偶者の3年以上の生死不明」「回復の見込みのない強度の精神病」「その他婚姻を継続し難い重大な事由」です(民法770条1項)。
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とされた裁判例としては、暴行・虐待、配偶者の親族との不和、配偶者の犯罪行為、性格の不一致、過度の宗教行為、著しい浪費、ギャンブル、性生活の異常、配偶者の疾病などが挙げられます。
ただし、性格の不一致という理由で離婚原因が認められるのはよほどの場合です。
Q 離婚を検討していますが、子供の親権はどうしても確保したいと思っています。どういう事情があれば有利ですか?
A 裁判では、子の福祉の観点から決定されます。具体的には、子に対する愛情、子の生活の安定(物質面、精神面の両面を含む)などが考慮されます。
Q 夫と離婚することになり、養育費の額も合意しましたが、きちんと支払ってくれるか心配です。確実に支払ってもらう方法はありますか?
A 「確実に」支払ってもらう方法は残念ながらありませんが、合意内容を強制執行認諾約款付公正証書として作成しておけば、将来、未払いの場合に、裁判を経ることなく強制執行をすることができます。
もっとも、強制執行をするためには、相手の財産を特定する必要がありますので、例えば、給料を差し押さえるのであれば、勤務先を把握している必要があります。
Q 夫と離婚することになり、財産分与として、今住んでいる住宅の所有権を移転してもらおうと思います。住宅ローンが残っていますが、所有名義を移転することはできますか?
A 住宅ローンが残っているのであれば、住宅に抵当権が設定されているはずです。抵当権が設定されていても法律上は所有権を移転することができます。
しかし、実際には、住宅ローンを借り入れる際に、「所有名義を移転する場合には銀行の事前の承諾が必要」との約束が交わされていることが通常です。
「金銭消費貸借契約書」を確認してみてください。この約束に違反して銀行に無断で所有名義を移転した場合、契約違反ということで、残債務の一括返済を請求されたり競売されたりする可能性がありますのでご注意下さい。
Q 離婚調停とはどういうものですか?
A 正確には「夫婦関係調整調停」といいます。家庭裁判所で調停委員を交えて行う話し合いのことです。調停委員は必ず男女各1名ずつです。
調停委員が調停を申し立てた人(「申立人」といいます)と申し立てられた人(「相手方」といいます)の双方から話を聞きます。
その際、双方を同時に部屋に入れることはせずに、1人ずつ別々に話を聞きます(待合室も別々です)。このような形で双方の意見を聞いて調整していきます。
離婚するということで条件等も含めて話し合いがまとまれば「調停離婚」が成立します。まとまらない場合は「調停不成立」となり離婚は成立しません。
Q 離婚を検討しています。別居して離婚調停を起こそうと思うのですが、生活費を入れてくれなくなるのではないかと思うと心配です。離婚調停を起こせば生活費をもらうことはあきらめなければならないのですか?
A そんなことはありません。離婚調停と同時に、生活費(「婚姻費用」といいます)の支払いを求める調停を申し立てれば、調停の場で、離婚の話し合いと並行して生活費の支払いについての話し合いができます。 話し合いで決まらない場合は「審判」といって裁判所が婚姻費用の額を決定してくれます。
Q すぐにでも離婚したいのですが、すぐに離婚訴訟を提起できますか?
A それはできません。離婚の場合、「調停前置主義」といって、必ず、訴訟の前に調停を申し立てなければなりません。調停が不成立になった場合には離婚訴訟を提起できます。