遺言の必要性

遺言の必要性については、多くの法律専門家が述べていますが、改めて述べておきます。

 

例えば、子どものいない夫婦がいて、夫にそれなりの遺産があるとします。夫の両親は既に他界していて、夫には兄弟が5人いるとします。

 

この例の場合、夫が遺言書を作成せずに亡くなった場合、法定相続分は妻が全体の4分の3、残りの4分の1を兄弟で分けます。

兄弟一人あたりは全体の20分の1です。


この20分の1のために、全員に連絡をして、遺産分割の案を作成して全員から同意をもらわなければなりません。

 

一人でも同意しない人がいれば裁判所に調停を申し立てなければならないことになります。

 

もし、上記の例で、夫が「全ての遺産を妻に相続させる」という簡単な内容の遺言書を作成していれば、何の問題もなく、全ての遺産は妻のものになります。

 

上記の例の場合は、子どもがいないので特に遺言は重要な意味を持ちます。

兄弟姉妹には遺留分はないので、兄弟姉妹は妻に対して遺留分を主張することができません。

 

ですから、本当に簡単に遺産の引継ぎが完了するのです。

 

これに対して、遺留分を主張することができる相続人がいる場合は上記の例のように簡単ではありません。


しかしながら、遺留分を請求されたとしても、法律で決められた割合を金銭で支払うことによって解決できますので(誰がどの不動産を取得するか等の問題は生じない。)、やはり遺言書がない場合よりも複雑化しないことが多いといえます。