私道について

今回は「私道」について書いてみます。

 

 

まず、「私道」とは何と読むのでしょうか?普通に読めば「シドウ」です。しかし、それだと、「市道」と間違いやすいです。だから、業界の人は「ワタクシミチ」とか「ワタクシドウ」などと読みます。

 

 

では、「私道」とは何でしょう?

簡単に言うと、私人が所有している道路です。

よく、「私道につき、立入禁止」などの立て看板を見かけますよね。これは、「私の個人的な土地で個人的に利用しているので他の人は通らないでください」という意思表示です。

この看板を見ると、「ああ、私道なのか、仕方がないな、他の道を通ることにしよう。」となりますね。

まあ、普通はこれでいいのです。

 

 

しかし、そうならない場合があります。所有者以外の他人が「私道」を通れる場合があるのです。

これには、いくつかの種類があります。例えば、公道に直接通じていない土地の所有者はその土地を囲んでいる土地を通ることができます。これを囲繞地(いにょうち)通行権といいます(民法210条)。その他には、他人の土地について賃貸借契約などを締結して通行することもあります。また、通行地役権(民法280条以下)というのもありますが、少しややこしいので省略します。

 

 

特に、よく問題になるのは、建築基準法上の道路です。

建築基準法では建物の安全や防災などの観点から種々の規制がなされていますが、その中に、建物を建てる場合、その敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないという規制があります(接道要件)。

この接道要件を満たすために、私道が「道路」として指定されることがよくあるのです。

具体的に言いますと、一定の規模の区画を開発して分譲住宅を複数建築する場合、もともとの土地はたいてい私人の所有ですから、もともと「公道」などはなく、私有地を建物敷地にする部分と「通路」にする部分に分けます。すると、その「通路」は私人の所有地であるけれども、「道路位置指定」という行政処分を受けます。すると、その「通路」は、建築基準法上の「道路」になるわけです。

このように行政処分を受けた「道路」はあくまで「私道」なのですが(公道になるわけではない)、日常生活でその「道路」を通ることが必要な人(その区画の住民など)は「私道」の所有者でなくても通れます。この場合、「私道」所有者は、「私道につき、立入禁止」の看板を立てて道路をふさいでしまうことはできません。

 

 

以上のように、「私道」といってもいろいろあるのですが、一般的にややこしい法律のことは知られていませんから、「私道」についてのトラブルは多いのです。

「私道」だからといって必ずしも所有者の自由にはなりません。近隣の方と揉める前に法律関係を確認しておくことをお勧めします。