「調停」について

 今回は、「調停」について書いてみたいと思います。

 

 

 「調停」というのは、一言でいうと第三者を交えての話し合いです。

 「第三者」が誰かというと裁判所が選任する調停委員会です。通常、調停委員会は一人の裁判官と二人の調停委員から成ります。実際に話を聞くのは主に二人の調停委員です。調停委員は民間人です。通常、調停委員のうち一人は弁護士です。医事紛争や建築紛争等、専門的知識が必要な紛争の場合は、医師や建築士等の専門家が調停委員になることがあります。調停が開かれる場所は裁判所の建物の中です。

 

 

 調停には、大きく分けて民事調停と家事調停があります。

 

 

 民事調停とは民事事件(金銭の貸し借り、取引上の問題、損害賠償請求等)を扱う調停で、管轄は簡易裁判所です。家事調停とは家事事件(遺産分割、離婚、養育費等)を扱う調停で、管轄は家庭裁判所です。

 このように「話し合い」と言っても裁判所で行われる話し合いですから、調停を申し立てれば裁判所から相手方に対して通知が送られます。ですから、ときどき、「裁判所から通知が来た」ということで、立腹する人もいます。

 

 

 調停の流れは、次のような感じです。

 

 

 まず、裁判所に着いて名前を告げると待合室に通されます。

 待合室は必ず二つ以上あり、申立人と相手方は別の待合室に通されます。紛争状態にある二人を同じ部屋に入れると喧嘩が始まると困るからです。

 待合室から一人ずつ別々に調停室に呼ばれて、二人の調停委員が話を聞きます。

 こういうことを一回の調停の中で2〜3回繰り返します。二人を同時に部屋へ入れることは原則としてありません。

 

 

 調停委員は、双方の言い分を聞いた上で、それぞれ相手に「○○さんはこういうお考えのようです。」等と伝えます。もちろん、言い分すべてをそのままの言葉で伝えると感情的になることがありますので、表現に気をつけて伝えます。

 そういうことを繰り返しながら、調停委員は、双方に誤解があるようなら誤解を解消することに努めます。小さな誤解が出発点になってこじれている場合もあるからです。また、調停委員は双方の妥協点がないかを探ります。双方が譲り合って譲歩し合うことも一つも解決方法です。白黒をつけるだけが唯一の解決ではありません。

 

 

 そして、無事話がまとまれば、「調停調書」というものが作成されます。

 調停は「話し合い」だと述べましたが、話がまとまった以上は双方が約束を守らなければなりません。

 「調停調書」には強い効力があります。どのくらい強いかというと、確定判決と同じ強さです。確定判決と同じということは、普通の判決以上です。普通の判決の場合、不服を申し立てることができます(控訴など)。しかし、調停調書は確定している判決と同じ強さですので、不服申立てができません。「やり直してくれ」とは言えないわけです。

 なぜ、このような強い効力が認められるのかというと、当事者が自分で決めたからなのです。ここには、自分で決めたことには責任を持つべきだという自己責任の思想があります。

 法律の場面だけでなくても自分で決めたことに責任を持つということは重要なことですよね。

 

 

 残念ながら話し合いがまとまらなかった場合は、「調停不成立」となります。調停不成立の後の流れについては、調停の種類によって異なり、かなり複雑ですので省略します。

 

 

 以上、今回は調停について書きました。調停は訴訟ほどドラスティックな手続きではないので、「訴訟はちょっとなあ。」と思っている方でも検討する価値はあると思います。