先日,東京で行われた「クラシックロックアワード」というイベントで,世界三大ギタリストの1人といわれるジミー・ペイジ氏が演奏しなかったことが話題になりました。
イベント告知のポスターには,ジミー・ペイジ氏の名前が大きく書かれており,ホームページなどでは「世界3大ギタリストの2人,ジェフ・ベックとジミー・ペイジは,日本初共演を果たすことになり・・」などと書かれていたそうです。
しかし,実際のイベントでは,ジミー・ペイジ氏は賞のプレゼンターとして登場したものの,氏の演奏はなかったとのことです。
そのため,「詐欺だ」,「チケット代を返せ」などの声が上がりました。
これに対して,当初,主催者側は,「本番直前にジミー・ペイジ氏の意向により演奏が行われなかった」,「ジミー・ペイジ氏の単独ライブではなくイベント自体は成立している」として,チケット代の返金には応じられないと述べました。
この点,法律的にはかなり難しい問題です。消費者契約法により契約を取り消せないかが問題となります。
消費者契約法4条1項1号によれば,事業者が「重要事項についての事実と異なることを告げ」て,消費者がそのことを信じて契約をした場合には,その契約を取り消せることになっています。これを「重要事項についての不実告知」といいます。
今回の事案では,イベントのオフィシャルページに「参加アーティスト」として,ジミー・ペイジ氏の名前が挙がっていますし,ポスターにも大きく名前が載っていて,「ロック・レジェンドたちによる夢の響演」などと謳っています。
これらの事情からすれば,あたかもジミー・ペイジ氏が演奏するかのように宣伝していますので,「重要事項についての不実告知」に該当しそうです。
しかし,チケット業者のウェブページなどを見ますと,「内容は一部変更になる場合があります」などと記載されています。このような点も考えると,直ちに契約を取り消せるかは微妙です。
もっとも,その後,主催者は,「イベントに失望された来場者」にはチケット代を返金すると発表したそうです。